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それからもキュリナは半裸のコットを目にするたびに顔を赤らめた。
そのうち慣れるだろう。
彼女を近くに置きたかったのは私の足がこれ以上悪くなったとき女手だけでは申し訳ないから。キュリナには話してあるの。ごめんなさいって謝ったら彼女は許してくれた。
「ありのままで生きることを許してくれる正妃様を尊敬します」
と言ってくれた。
私も探求心がある彼女を尊敬する。髪結いの本を出したら売れるんじゃないだろうか。感覚でやっているから、文字にも絵にもできないという。
『ところでサイカ姉様、マブってなにかしら? マブいのマブ?
キュリナは本当にぱっと見、女の子みたいなんだもの。コットがそう思うのも無理はないわ。いつか姉様のお化粧もお願いするわね』
『リンネット、温泉のおかげで調子がいいようね。悪いことを考えてはだめよ。こっちで採れた花油を贈るわ。髪にも体に塗ってもいいのよ』
桃山には同じようなのがあるのね。キュリナにもあげて、桃山よりもいいものを作れるように協力してあげたい。瓶を開けるといい香り。桃山は花がたくさん咲くらしいから花の匂いを採取することにも長けているのかもしれない。
姉様からの手紙には先に妻になった女性が懐妊したと書いてあった。お山にとってはめでたいことでもサイカ姉様の気持ち的にはどうなのだろう。嫉妬したり苦しんでいないかしら。
お祝いの品として馬毛を筆にするためにエンカにたてがみをもらった。
「私だったら耐えられないわ。夫が他の人ともそういうことをするなんて。でもコットも王様で子どもがいないと困るから、そのうち割り切れたりするのかしらね」
婆は空を見上げて返事をくれなかった。




