表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私を好きって本当ですか? ~自己肯定感の低い私が結婚したら幸せすぎでした~  作者: 吉沢月見


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/126

50

 手紙を広げていると、

「またどこかの姉様からか?」

 とコットがため息をついた。


「うん、エリー姉様から。結婚をしたばかりのときは不安なのよ。あの堅物のお姉様が慣れない土地で頑張るっているんだもの、応援しなくちゃ」

 コットが手紙を盗み見るから、渡した。


 隠していることなんて私にはないもの。

「水が豊富なのでトイレがいつも水で流れています。

 蒼山よりも標高が高いです。真夏には光る虫が飛ぶそうです。それは死者の蘇りとされていて、殺してはいけないそうです」

 エリー姉様の手紙をコットが読んでも姉様の声に聞こえる。


「コットは霧山行ったことある?」

 私は蒼山にいたとき、遠くに見える霧山が見えると明日も晴れるなと天気予報代わりにしていた。


「ああ。真面目な人たちだよ。青っぽい民族衣装で派手ではないがまとまった集団だ。あまり文明を取り入れず男でも耳に飾りをしていた。あ、あれがうまかったな、腐ったドロドロのしょっぱいもの」

 コットの例え方に笑ってしまう。


「腐豆かしら。うちにもあったわ」

 豆を腐らせて作る調味料のようなものだ。


 ラティウス料理長に聞いてみたら腐豆を絞った汁ならわかるらしい。

 コットがうまいと言ったから食べさせてあげたい。しかし、材料すらわからない。


「その汁とカスごと発酵させるのかしら?」

 私もそれの作り方まではわからない。蒼山ではとにかく大きな樽で作っていた。


「作ってみましょう」

「はい」

 念のため、

『エリー姉様、腐豆の作り方知ってる?』

 と手紙を書いてみた。


 向こうの検閲官もこんな手紙を見ても無意味だと早く気づかないかしら。私たちは、姉妹は絶対に敵になれない。しかしコットとの間柄ももう絶対。


 ラティウス料理長となんとかそれっぽものを作ってコットと食べた。

 パン、腐豆、チーズと重ねる。


「どうかしら? おいしい?」

「ああ。我々の結婚のようだな」

 コットは自分ではうまい例えだと思ったらしく、私を膝においてご機嫌だった。

 口の中で咀嚼してぐちゃぐちゃになっていい味になるということだろうか。


「明日でもよかろう」

 というコットを放置して、エリー姉様にお返事を書く。姑よりも小姑が厄介らしい。


「私もあなたがもらってくれなかったらフレディのお嫁さんにとって小姑だったのよ」

 この足を貶されても嫌だし不憫に思われるのも違う。要するに私は面倒な小姑になったに違いない。


 コットと手をつないで手紙を書いていたら、コットが紙を押さえてくれる。


『エリー姉様、お会いできる日を楽しみにしております』


 小さな頃、草笛を教えてくれたのはエリー姉様だった。物がないなら、機転を利かしてなんとかしているはず。でもエリー姉様のきれいな髪を維持するために私からではなくフレディから椿油を送らせよう。そうすれば蒼山と霧山の結束も強くなるはず。


 蒼山にいたときはみんなに守られているだけの私が姉様たちの心配をしているなんて不思議な話ね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ