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私宛に蒼山から荷が届き、コットが私の部屋に運んでくれた。
木の大きな箱に旬の果物がずっしり。
「蒼山はこの季節はたくさん果物が取れるのよ」
私の好きな物ばかりをきっとフレディが選んでくれたのだろう。
「うちだって」
コットが甘すぎる匂いに顔をしかめる。
「ネクタリンが柔らかくなってるわ。コットはきっと梨が好きよ」
「食べたことあるよ。しゃりっとしたものだろう?」
ベリーに枇杷まで。
「リンネット、これは手紙じゃないか?」
コットが内蓋から外してくれる。
「こんなところに紛らすなんて。あら…」
手紙を広げて驚いた。てっきり秘密の知らせかと思った。
「どうした?」
「エリー姉様の結婚が決まったらしいわ。霧山だって」
コットが私の頭を撫でる。
「蒼山よりも更に遠くなってしまうな」
そうだった。霧山は蒼山の北で、紅山は蒼山のずっと西。どんなに天気がよくてもお山の形も見えないだろう。サイカ姉様が嫁いだ桃山は紅山からはもちろん、蒼山からも見えない。
「天気がよければ蒼山からはたまに霧山が見えるの。だから大丈夫よ」
フレディがエリー姉様を遠くには行かせたくなかったのだろう。
「しかし、あそこは一年の半分以上が冬だぞ。うちよりも冬が厳しい」
コットが言った。
「そうなの?」
「今は夏だからいいが」
梨を剥いてあげるとコットはぱくぱく食べた。皮を剥くのが追いつかないほどの速さで食べてしまう。
「ねえコット、私も食べたいわ」
「すまない。貸してごらん、剥いてあげる」
「コット、皮剥けるの?」
「もちろん」
するするっと上手。
「うちの父様はナイフも持たなかったわ」
「はい、お食べ」
おいしい。
「悪くなってしまわないように、みんなで食べてとお城の人たちに伝えて」
私は言った。
「ああ」
ジャムにするにも限度がある。もっと保存が長期間できる冷たい箱でもあればいいのだけれど。




