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足がこんななので実に不便。でもそれは私よりも私の世話をしてくれる周りの人たちが口にしないだけで思っていることだろう。
「リンネット様、お仕度しますのでこちらに」
「はい」
サシャに手を引いてもらって立ち上がる。何かにつかまっていたら立っていることも苦じゃない。ほんの少し左足に力を込めてみる。
「他のお山には蝋燭ではなくてずっと明るい光がついている道具あるそうですよ。そういう便利な器具を作っているところならばここよりも医学も発達しているのではないでしょうか」
サシャは私に悲観ではなく希望を持っていてもらいたいようだ。
「ありがとう、サシャ。でも私はこのままでも仕方のないことだと思っているわ」
うちのお山の医学ではどうにもならず、諦めた。学校にも行かずほかのきょうだいたちと違う人生だったけど、もしも歩けるようになったら歩けなかった過去をもったいない、悔しい思ってしまうのではないだろうか。
「リンネット様、手をこちらに。お化粧はどうなさいます?」
「いつも通りで」
「せっかくきれいなドレスを新調しましたのに」
「いいの」
だって私は美しく着飾った姉様たちを見ているだけだもの。姉様たちのように踊ったこともなければ、殿方から言い寄られたこともない。
数日前から王宮は宰相の指示のものと、いつもとは違い王宮が煌びやか。質素倹約を心掛けている父様がこのときばかりは散財する。それも姉様たちのため、それがゆくゆくは蒼山のためにもなるはず。
駒にもなれない私はおとなしく料理に舌鼓。