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でも、コットの機嫌を取るのってとっても簡単。私が作ったご飯を食べてうんうん頷いている。
食事が終われば私の部屋のベッドに腰を下ろす。
「じゃあ私、お風呂に入ってきますね。杖で行くので大丈夫ですよ。疲れているなら先に寝てしまってもいいですからね」
絶対に待っている気がする。
こちらは領土が広い分、見回るところも多いのかしら。蒼山はもっとコンパクトで王宮の作りも守りができている。コットって大変ね。それなのに、手のかかる嫁をもらって、苦労するのが好きな人なのかもしれない。
「リンネット、湯あみしたのか? 待ちくたびれたぞ」
とベッドの上で正座をしていた。
「ごめんなさい。アンナに髪を梳いてもらっていたものだから」
こっちに来てから髪を切っていない。どれくらいで切るものなのかしら。ベルダ姉様は短いのが好きだし私も婚礼が終わったら切っていいものとばかり思っていた。
「そうか。おいで」
ベッドに入るとコットが私の割れた爪の箇所を舐めた。
「コット、ごめんなさいね。爪のケアのオイルを置いてきてしまったの。前もサイカ姉様とお菓子を作ったときに同じことがあったわ」
カトも乳液も見つからずじまい。
「いや、いいのだ。リンネットが料理をすると思わなかったので大きな声を出してすまぬ」
「うちは私たちも割と料理をしていたんです。ラティウス料理長に比べたらおいしくないかもしれませんが、たまに作ってもいいですか?」
「もちろんだ。リンネットの作ったものは愛の味がする」
コットったら、怖い顔のくせに甘いこと言うのね。
あなたに包まれるとすぐに眠たくなってしまうわ。
あなたがこの数日どう過ごしたのか、私だって聞きたいのに。何人くらいの兵とどっち方面へ赴いたの? 危険なことはなかった? 私はあなたが摘んでくれた花ばかり眺めていたわ。
「リンネット、もう寝てしまうのか。そなたといると夜が短いよ」
おやすみ、コット。私はあなたがいると安心してすぐに寝てしまうの。
自分でも不思議だわ。あなたのせいなのよ。




