33
紅山のお山はギザギザしているけど、毎日見ていれば自分のところのお山様と同じように崇拝したくなる。蒼山とは違い、お山様に今日の天気を願ったりはしないそうだ。うちはなんでも願うのよね。転んで擦り傷を作っても、目に入ったごみが取れなくても熱が出ても。
一日の時間はどこでも同じ。空もつながっていると父様も話していた。
コットは王様だから仕事が忙しいようだ。
視察に出かけてしまって、帰りは3日後の予定。
「エンカ、暇ね」
杖で歩けるようになったからエンカのところにばかり来てしまう。
そこで婆に会った。腰が曲がっているのに馬の給餌からブラッシングまで。
用心深いエンカが婆の手から干し草を食べている。
「きれいな馬だ。それに馬たちにもう慕われている。小さいのに」
「馬と話せるお方ですか?」
「ただの婆だ。馬の気持ちを考えているだけ。今は、風が気持ちいいって顔してる」
婆が歩くと馬がわらわらとついてくる。慕われていることに間違いはないみたい。
そうか。私もコットに愛されたいから自分ができることをしてみよう。
「アンナ、こちらの服を着たいわ。みんな着ているから」
私はコットの計らいなのか、蒼山から持って来た服を着ていた。でも、それでは浮いてしまう。
「ご用意いたします」
こちらの服はツーピース。出かけるときは更に長いベストのようなものを羽織る。女性はきれいな帯をする。
蒼山では女でも小刀を携帯するように言われたが、こちらはない。兵士の数が多いから領土内は安心らしい。それでもコットは国境付近によく赴いている。
あの人のために私はなにができるかしら。




