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午後はお城の見晴台へ。
「手を振ればいいんですよね」
王様がまた抱っこで運んでくれる。
「ああ」
階段がぐるぐる。
「広いですね」
「歩けないことは一部の者しか知らない。そなたはなるべく部屋にいるように」
「はい」
王冠をして民衆の前に出る。私は蒼山でも民の前に立たなかったから、こんなに人々の頭を見るのは初めて。
「王様―」
「王妃様―」
微笑んで手を振る。
「まあ、きれい」
と歓声が聞こえる。
「そう、うまいじゃないか」
高い椅子を用意してくれたのでそこに座った。王様が立っているのに王妃が座っていていいのだろうか。
「練習させられましたから」
補佐官のバーリーさんもアンナ同様笑わない。民衆は微笑んでいるし、王も笑顔。線引きがわからないな。
「では、戻ろう」
まだ数分。
「もう、いいのですか?」
「充分だ」
王とはどういうものなのだろう。民に愛される者? 民を愛する者? 国をつかさどる者?
従われる者? 従える者? 高貴? お金を持っていること? 人一倍優しい者? それとも強い人?
フレディは帝王学を学んだのだろうか。私も少しは勉強してこの人を支える人になりたいな。
夕食は部屋で一人で食べた。お祝いなのにお酒は出なかった。
「迷惑な話だ」
「部屋の近くに厠なんて臭くてたまらないじゃないか」
廊下からそんな声が聞こえてきた。男の人の声。
従者も意地悪そう。王様はいい人だけれど、アンナも他の従者もビビっているから本当は怖い人なのだろうか。おかげで初めての羊肉は寂しい味に感じた。
私、やっていけるかしら。不安なのにひとりぼっちで泣きそう。




