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紅山はあまり他の国と親しくならないとフレディが言っていた。そうする必要がないほど力がある証拠。
「リンネット、じゃあ私帰るわ」
ベルダ姉様はあっさり。
でもそろそろこちらを出ないと蒼山に着くのが暗くなってしまう。
「はい。お姉様、本当にありがとう」
「しんみりしないで。会おうと思えばすぐに会えるわ」
「うん」
見送りには王様も来てくれた。
カトがないので私の行動は王様に抱かれるほかない。この人、ちっとも苦じゃなさそうで、それが嬉しい。
ベルダ姉様を乗せた馬車が見えなくなるまでそうしていた。きっと私が来るときもエリー姉様たちは見守っていてくれたのだろう。あの二の腕を揺らして。
寂しい。もうベッドで一人。
誰も構ってくれないし。自分の荷解きくらいするのに制止された。王妃って暇なのかしら。なにをしたらいいのだろう。これからここでやっていけるかな。
広い部屋。きれいだけれど、孤独が濃縮されてゆく。
だめだめ。そうだわ、エンカに会いに行こう。小さい馬だからこっちの大きな馬にいじめられえていないかしら。
カトがないから片足ケンケン。
あてがわれた部屋が一階でよかった。階段だったら、左足から降ろして進まなくてはならない。手すりがなかったら無理だ。
私は鼻がいいのでエンカの匂いの方向に進む。
石畳のおかげで転ぶこともない。数歩進んでは休む。
「エンカ」
エンカは広い柵の中にいた。他の馬とはわけられているよう。
私に近づいて顔を寄せてくる。
「ごはんは食べたの? 長旅で疲れたでしょう? 寂しくない?」
エンカを母のマーヤから離してしまった。
「ごめんなさいね」
体は大人でもまだエンカは2歳だ。それなのに、私を優に越えた背丈。首の分、いつの間にか私よりも大きくなった。




