68、夏闘祭③
エアはいつもの明るい笑顔と声色で、カタリナに声をかけた。
「さてリナちゃん! 初戦ですが意気込みをどうぞ!」
グラウンドはいつもとは異なり、豪華に飾り付けられていたほか、客席も一時的に増設されており、様々な人が集まっていた。
「まぁ、余裕だと思う」
「あんまりケガさせないように気を付けてね」
「もちろん」
カタリナの初戦は、運が悪いことに、ルティアの幼馴染であるイリーナで、彼女はこの学園の生徒の中ではトップクラスの戦闘技能を有していた。イリーナ自身は自分の実力を最大限発揮することにのみ集中しており、勝利自体にはこだわっていなかったものの、その初戦の結果に、会場は沈黙に包まれた。
カタリナは、はじまりの鐘と同時に、習得したばかり短距離転移魔法を、所持しているサーベルに付与してイリーナの左足の切断を狙ったが、イリーナは空間のゆがみを察知して即座に下がって対処した。しかしその瞬間には、カタリナはすでにイリーナの後ろに転移しており、背後から首を絞めて、決闘は終了した。イリーナは、入学してから他の誰よりも真剣に授業を受け、様々な魔法を習得し、その精度を高めていたが、そのうちひとつも披露することなく敗北した。
その結果はカタリナにとって満足のいくものだった。相手がどのようなタイプの魔術師であっても、魔法を使わせる前に相手を仕留めることが、彼女の理想とする戦い方だった。
英雄になりたいという夢を持っている人間には似つかわしくない戦い方。しかし彼女はどこまでも合理的で、自分がどういう人間で、どういう戦い方ができるのかということを深く理解し、自らの能力を鍛えることに対して、極端なまでにストイックな人間であり、それを心の奥底から受け入れていた。
観客は、カタリナに対する恐怖と困惑を感じずにいられなかった。盛り上がるはずの決闘の初戦が、どんな反応もふさわしくないような空気感になってしまったことと、その日の天候の悪さも相まって、大会の進行そのものに、学園の運営側は非常に強い懸念を抱いていた。
裏方に回った戦闘技術科准教授のアリシアは、戦慄すると同時にほっとしていた。カタリナの実力は、その初戦だけで、自分が想定していたよりもはるかに高いことに気づき、彼女が本気を出せば、自分もまた、イリーナと同じように、何もできずに即座に勝負が決してしまうことを確信していたのだ。
「その、アリシアさん。彼女のような戦い方をする者に対しては、どう対処すればいいんですか」
隣で決闘を見ていた、植物学の講師を務めているルーアに尋ねられて、アリシアは唸る。
「転移魔法は、空間の魔力をあらかじめ不安定にしておけば、難易度が跳ね上がりますので、あらかじめ防ぐことはできますが……しかしそれは、決闘の規則上、不可能です。環境系の魔法も、トラップも、開始以前に唱えるのは反則で、即時発動の転移魔法への対処でルールに違反しないとなると……転移位置を予測して先に地点指定系の魔法を置いておくことや、防御魔法を全身にはりめぐらしたり、あるいは即座に高速移動を始めるか、あるいは自分も転移魔法を中心とした戦術を使うか、くらいしか……」
ルーアはアリシアの答えを聞いて、ため息をついた。
「つまり、私みたいな並みの魔術師では、対処不可能というわけですね」
「私でも無理ですよ。そもそも、彼女は私たちと考え方が違いすぎる。彼女は、魔法を究めることではなく、戦いを究めようとしている。あくまで私たちは、イグニスさんも含め、『戦闘に用いられる魔法とその技術』を高めることを目標としています。しかし彼女は、どこまでも、『戦闘に勝つこと』を目標にしている。あれでは、学問は発展しません」
「ですね。あれをされたら、魔法の多様性が意味を成しませんから……」
「ねぇリナちゃん」
初戦を終えたカタリナは涼しい顔でバックヤードに戻ってくるが、エアの表情は険しい。
「何?」
「他の人への気遣いは大事だと思う」
「つまり、エアは私に手加減していい勝負を演じろっていいたいんだね?」
エアは黙って唇を噛んだ。肯定も否定もしなかったが、カタリナに対して不満を感じていることを隠してはいない。
「あれじゃ、イリーナさんがかわいそうだよ」
「でも戦いってそういうものでしょ? 勝つ人がいたら、負ける人がいる。私は勝ちたいから、勝つための学習と訓練を続けた。彼女もそのために努力したのかもしれないけれど、その成果は出なかった。それだけのことだと私は思うけど」
「他の人はそうは思わないし、リナちゃんは、他の人から残酷な人だって思われる」
「私は残酷な人間だよ。そうじゃなきゃ、処刑人なんてできないでしょ」
実際、カタリナはイリーナに対して一切同情していなかった。同情する意味もわからなかった。もし自分がイリーナの立場だったとしても、相手に同情を求めたりはしないし、手加減をしてもらっていい勝負がしたいとも思わなかった。
転移魔法という、大半の魔術師は避けるような魔法を戦闘に使うことがもっとも合理的なら、カタリナはそうするのが当然だと思っていた。もともと、カタリナが得意としていた腐蝕系の魔法も、見た目や危険性を考慮して大半の魔術師は避けるが、カタリナは自らの適正と、その属性のポテンシャルが他の属性の魔法よりはるかに高いという事実の方が、重要であると合理的に判断したからであった。
つまりところ、彼女は必然的に短距離の転移魔法を究め、それによって魔術師とは魔法を打ち合わずに勝負を決めることがもっとも正しい戦い方なのだと結論付け、そのように行動したに過ぎない。
「私は優しい人間ではないよ、エア」
「じゃあなんで私に魔法を教えてくれたの」
実際、カタリナはエクソシアまでの決戦において、エアに対して何かをしてやる道理はなかった。ザルスシュトラらに頼まれていたのは、あくまで良好な関係を築き、旅に同行することだけだった。
だがカタリナはエアのためにずいぶん多くの努力をしたし、それを苦にもせず、対価も要求しなかった。
「多分それは、私があなたに惹かれていたからだよ。でも、私は、たとえ相手がどんなに魅力的でも、その人と自分の意見が対立したなら、自分の意見の方を重視する。そしてそれは、エアもそうでしょ?」
エアは黙ってうなずいた。
「私も、出るよ。夏闘祭。準決勝かな。リナちゃんと当たるのは」
「結局出てくれるんだ」
「本当は初戦で私がリナちゃんと当たっていれば、他の子が苦しまずに済んだかもしれない。でも運は運、ルールはルールだから」
「出たくないんじゃなかったの?」
「もしリナちゃんが、普通に戦ってくれたなら、私は棄権するつもりだった」
「そ。なら、私のイリーナに対する戦いかたは、わたしにとっては、やっぱり正しかったわけだ」
「結果としてそうなっちゃったのは残念だよ」
カタリナは、エアを傷付けるのは嫌だったが、それ以上に、自分の欲望を優先することをよしとした。
エアは、カタリナよりももっと周囲を見ており、魔法学園においてカタリナの立ち位置が微妙になっていることを察して、下手をするとカタリナと学園が敵対し、最悪どちらかが消えるようなことにもなりかねないと思っていた。それを防ぐために、自分が中立の立場から、カタリナの問題性を小さくしようと決心していた。
セラは、もっともエアとの接触が多かったがゆえに、その存在が希薄になりつつあった。もともとあった彼女の概念形装も、裁断の原理も、ほとんどエアに引き継がれていて、肉体的な感覚の共有もより強くなっていた。
力を取り戻しつつあるエアの概念形装はほぼ完全に近い形になっており、裁断の原理こそ不完全で不安定ではあるものの、その性能自体はありふれた魔法剣の比ではなく、ほとんどの物体は触れただけでその構造が揺らぐほどであった。
エアの方の戦いもまた、一方的なものであったが、エアは力を相手に合わせてセーブし、相手の実力を最大限か、それ以上まで引き上げてから、ぎりぎりで勝つような演出を行って会場を沸かせた。また、負けた方も、実力を出し切って負けているため、非常にすっきりとした顔で戦いを終えることができていた。
エアの戦い方は観客と生徒の皆が求めていたものであり、本来ならカタリナもそうすべきだったのだ。
「結果として、対照的になっちゃったね、エア」
準決勝の舞台に相対するふたり。カタリナは、いつもと変わらないさわやかな表情を浮かべ、髪を風になびかせている。その左手にはサーベルを、その右手には結晶化した腐蝕属性の腕装を。
対するエアの方は、傷一つない美しい白鎧に身を包んでおり、その間庇から覗く眼光は鋭く、決意に満ちていた。一言も口にせず、裁断の原理を顕現させた。彼女はここまでの戦いで、この危険な概念形装を用いることはなかった。
観客たちはみなエアを応援していた。カタリナの戦い方は卑怯で、わかりづらく、本当の意味では魔術師らしかったが、人々が求める魔術師らしさではなかった。
反対にエアは、ほとんど魔法を使わず、あくまでその概念形装の性能便りの戦い方をしていたが、決して魔法に対する敬意を忘れず、相手の魔法にひとつずつ丁寧な対処を行って勝つという、模範的な人々の中にある「優れた戦士像」通りの動きをしていた。
はじまりの鐘が鳴り響くと、カタリナはそれまでの戦いと同様に、サーベルに転移の術式を唱え、その出現地点にある相手の肉体を、空間ごと切り裂こうとした。同時にエアは、それまで一度も唱えていなかった術式の詠唱を始める。エアの右の太ももあたりに出現したサーベルは、奇妙なことに、エアの太ももと重なった部分が切り抜かれた形で出現し、エアに傷一つつけることなくからん、と地面に落ちた。
「貫け!」
エアの術式の詠唱が終わり、彼女は裁断の原理をカタリナに向けて氷のつぶてを射出する。それまで一度も魔法らしい魔法を使ってこなかったエアが、誰もが知っている基本的な魔法で攻撃をはじめたことに、会場は「おお」と歓声をあげる。
カタリナは即座に防御術式を形成、起動し、氷のつぶてを防ごうとするが、触れたその魔力に強烈な切断属性が宿っていることに気が付いた。同時に、瞬時に転移術式で位置をずらし、その攻撃をかわした。
「裁断の原理の効果は、遠距離魔法にもそのまま適用できるのか」
「ううん。ただ、魔力の残滓が残ってるだけだよ」
「やっぱり、概念形装っていうのはずるいね」
カタリナはまだいくつもの手を隠しているし、エアに対して完全に勝利するための策も練ってある。表情は余裕を保っている。
半面、エアの方は、カタリナの手の内を知らない上に、自分自身はそれほど戦闘の技能を究めてはいないし、隠し玉と言えるようなものも持ってはいなかったため、ただ全力を尽くすことしかできなかった。
カタリナは腰に差した予備のサーベルを取り出す。それは先ほど転移攻撃に用いたものとは異なり、複雑な文様が掘られている。
「エア。私がこの学校に入って特に集中して学んだのは、転移術式と、もうひとつ、魔力回路学。奇しくも、エアの弟のイグニスが得意としている分野と重なっているんだよね」
言葉が途切れると同時に、カタリナは姿を消した。エアは視覚ではなく魔力の感覚に頼り、カタリナが自分の背後を取っていることに気が付いたが、慌てて振り向いたりはしない。こちらは一度崩れた体勢をすぐに立て直すことはできないが、カタリナの方はいつでも何度でも転移を行うことができる。
カタリナそのまま、エアの首元に思い切りそのサーベルを突き刺した、が、弾かれる。腐蝕属性がエアの白鎧に進蝕を試みるが、それは弾かれて、空気中に霧散する。
エアは体勢を崩さないようにゆっくりと振り向こうとするが、足が動かないことに気が付く。
「必要だったのは時間稼ぎ。さっきの攻撃にはほとんど意味がないんだよ、エア」
「なるほど」
地面に落ちている、エアの太腿を狙った最初の攻撃に用いられた短剣に、冷属性の魔力が宿っていたのにはエアも気づいていたが、それが紐状の魔力を付近の生体に絡みつき、地面と固定させるほど高度な術式が込められているとは想像もしていなかった。
エアは反属性の火の魔力を足元に込めるが、意味がない。当然だ。相手に察知されないような、複雑かつ複数の属性を込めており、それらは他の魔力属性によって、その属性の割合も変化するように構成されているのだ。反属性魔力での解除は封じられている。
「つまり、リナちゃんが究めていたのは罠の術式っていうわけだね」
「そう。ほんとならここですぐ仕留めるけど、エアならそれをいつでも解除できるでしょ? とりあえず今は、それを見たいかな」
エアは沈黙して、裁断の原理を両手に持ち、地面に突き刺した。地面が波のように揺れ、会場がどよめく。カタリナは地面から離れ、空中に静止する。罠を無効化したエアもまた、背から、セナのそれとよく似た翼を顕現させ、空中戦に応じる。
裁断の原理によって、カタリナの罠はすべてその効果が断ち切られていた。それどころか、決闘上の、観客を守るための結界も断ち切られた。ミリネはこれを想定したため、即座に結界を張りなおした。
「その翼に名前はあるの?」
「これは白鎧の一部だよ」
「へぇ」
「時間切れになれば、立会人が勝敗を決めることになっているけれど」
「うん。そうなれば、嫌われ者の私が自動的に負けることになる。だから、そろそろ決めないとね」
ほとんどすべての魔法攻撃を防ぐ潔白の重鎧と、あらゆる術式を即座に無力化でき、放つ魔法にあらゆる防御魔法が意味をなさなくなるほど強力な切断属性を付与する裁断の原理。エアの持つふたつの概念形装はとても相性がよく、ただ優秀なだけの魔術師では彼女を倒すことはほぼ不可能に近い。
カタリナの得意とする腐蝕属性の魔法も、潔白の重鎧を突破することはできない。転移魔法も、先ほど試したが、彼女の鎧の内側に送られたものはなぜか消失することが明らかになっている。罠や身体拘束系も、裁断の原理がそこにあるかぎりは即座に解除される。魔力保有量自体は、カタリナとエアの間に現在はほとんど差がないため、魔力切れによって概念形装を解かせる戦略も、現実的ではない。
「封印、しかないんだよね。今の段階ですら、エアを無力化するにはそれしかない」
つまるところ、彼女の裁断の原理の発動は、彼女自身の意志を表現するための動作が必要であり、その動作を行わせなければ、あらゆる術式は彼女に影響を及ぼすことができる。
潔白の重鎧はあくまで彼女の肉体を傷付けようとするものを防ぐための者に過ぎず、彼女の体を囲み、動けなくする分にはその効果は意味を持たない。彼女の体を傷付けず、その動きを封じる。それだけが、カタリナがエアに勝利する唯一の方法であった。
カタリナは転移魔法を連続して起動しながら、装備に仕込んだナイフや、その場で生成した氷のつぶてを次々とエアを囲むように投射する。エアの方は裁断の原理で、可能な限り打ち込まれた投射物を切断し、さらに定期的に裁断の原理の効果範囲を広げ、自分の周囲の術式の効果をすべて無効化した。そのたびに客席を守る結界は破壊され、観客は危険にさらされたが、その戦いに夢中で、自らに迫る危険に気づくものはほとんどいなかった。
カタリナの転移魔法と術式発動の頻度はどんどん早くなっていく上に、放たれる攻撃のほとんどは、最初から無力化されることを前提とするような、効果の薄いものが多かったため、彼女が消耗することはなかった。反面、エアの方は、常に全力で、自らを取り囲むような術式の解除に追われ続けていたため、結界の外にまで意識が及ぶことはなかった。
そして、カタリナの準備が整った時、勝敗は決した。エアが再び裁断の原理に大きな魔力を込め、周囲の術式の解除を発動させ、決闘場の結界が無力化された瞬間、結界の外を取り囲むように形成された、網の目が起動し、即座に収縮し、エアの体を縛り上げ、拘束した。その瞬間、カタリナは即座に結晶化した腕を振り上げ、エアの裁断の原理を持つ腕を殴った。白鎧は、裁断の原理という異なる概念形装を守る働きはもっていないため、裁断の原理はすぐさま浸食され、形が保てなくなる。本来ならエアは、即座に別の裁断の原理を顕現させるのだが、彼女の指にからまった糸は、彼女の拳をがんじがらめにして、開けないようにしていた。
剣を出すことはできても、それを握ることはできない。
その状況に、会場は悲鳴に包まれる。カタリナは攻撃の手を緩めない。身動きが取れなくなったエアは、そのまま地面に落下していった。カタリナは、重力を利用して、文様の入ったサーベルを、そのままエアの腹の中央部に突き刺した。
重鎧は、魔法攻撃を完全に無効化するが、物理攻撃に対しては、ただきわめて強力な耐性を持つにすぎず、無力化するわけではない。
つまり、物理的な防御を貫通する特殊な術式の施された武具は、彼女の鎧を貫くことができ、そしてその貫いた先の生身の体になら、あらゆる術式は届きうる。
「エア、私の勝ちだね」
エアは自分の腹が剣で貫かれ、その剣の先からは少し控えめな腐蝕属性が流れて出ており、自分の肉体が崩壊を始めていることに気が付いた。こうなってしまえば、もう逆転の目はない。
「うん。リナちゃんの勝ちだよ」
立会人を務めていた魔術師が鐘をならし、勝者の名を叫ぶ。同時に、客席は歓声に包まれ、大きな拍手が沸き上がった。それは、ここまでの試合で最も大きなもので、ふたりの健闘を称えるものだった
。カタリナはすぐさま術式を解いた。エアも、概念形装を外して、いつもの明るくひとのいい笑顔を浮かべて、カタリナに握手を求めた。カタリナもそれに応じた後、エアを軽く抱きしめて「いい戦いだった」と言った。
観客は、そのカタリナのごく自然な仕草と態度に、皆好意を覚えた。それまでの戦いで、カタリナは残酷かつ非道な、よそ者の魔術師だったが、その戦いによって、彼女が友情を知っており、その友人とも一切手加減のない真剣勝負を行える、ひとりの究めて強力かつ純粋な人間性を持った魔術師であることが明らかになったのだ。
カタリナとエアはその大きな拍手に答えるように、客席に手を振りながら会場を去った。
「ねぇリナちゃん」
「何?」
「よく考えたらさ、私が裁断の原理で結界を無効化した時点で、私の反則負けだよね」
「まぁね。出力の調整も一応は決闘の技能のひとつとされているわけだから」
「それで、結界の無効化を利用して、結界の外側に、つまり私の裁断の原理の効果が及ばない範囲に術式を構成して、それを一気に収縮させつつ起動する、っていうのは本当に予想外だった」
「ちなみにあと六つほど、エアを出し抜く策を考えてたよ」
エアは肩をすくめて「敵わないな、リナちゃんには」と笑った。しかしエアはすっきりした表情で「でも、目的は達成できたからいいかな」
「目的?」
「リナちゃんが、単なる悪者ではないことを皆に伝えること」
カタリナの方も肩をすくめて「私もエアには敵わないよ」と笑ったあと、肩をぶつけて親しさを表現した。