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49、はじめての決闘

 ルティアはもうすでに覚悟を決めていた。決闘なんてものは生まれて初めてだったが、それはイリーナも同じことだった。

 入学する前から、戦技科の決闘という文化とそのルールのことは、ふたりとも十分に学んでいた。

 できる限り相手に怪我をさせないよう配慮すること。

 決闘を終えた後、互いを侮辱せず、健闘を称え合うこと。

 立会人の指示には必ず従うこと。


 決闘はあくまで、訓練の一環でもあると捉えられていた。理性の訓練でもある。戦技科に入る人間は、精神的に未熟で、乱暴な気質を持った者も多い。あくまで戦うことは手段であり、魔術師たるもの、感情を理由に戦うにしても、戦いの最中も、それが終わった後も、冷静でいなくてはならない。そういったことを学ぶのに、決闘はうってつけなのだ。

 戦いを、単なる力と力のぶつかり合いではなく、人間関係の構築手段として扱うこと。決闘からは、他では学べない、戦いの本質に属する事柄を手っ取り早く身をもって学ぶこともできる。


 そういった事情も分かったうえで、ルティアは考えていた。

 イリーナにはおそらく勝てない。だが、自分が戦技科にふさわしい人間であることを、ここで皆に証明しなければ、自分の学校生活はこの先、暗いものになるし、最悪、退学だってありうる。負けるにしても、善戦しなくてはならない。


 一方イリーナの方は、もっと感情的に未熟だった。幼少のころ、彼女はルティアのことを愛していた。利発的で、勇気があり、自分より一歩先を迷いなく進んでいく彼と自分の将来が繋がっていることを本気で信じていたし、その時のことを今でもありありと思い出せる。魔術学校の初等部に入ってから、彼の魔術の才能があまりに乏しいことをどうしても認めなくては行けなくて、友人や親と相談した結果、彼とは縁を切ることになった。

 それは、ほとんど彼女自身の意志ではなかったが、彼女は、それは自分が選んだことなのだと自分自身に言い聞かせていた。

 現在のイリーナにとって、ルティアの存在は、自分の心の平穏を脅かす、淀みに過ぎない。彼と別れると決めて以来、視界の端に映る出来損ないのかつての恋人は、苛立ちの種にしかならなかった。長い間の小さな不快感が積み重なって、それは憎しみに近い感情に変わっていた。

 そしてその対象に、面と向かってはっきりと、侮辱された。名前も知らない平凡な女、と言われたことに、理性を曇らせるほど大きな怒りを覚えた。

 自分は、ルティアのことを忘れることなんてできるはずがない。自分は才能があり、彼には才能がなかった。だから、私たちは離れることになった。性格も、互いの気持ちも関係なく、ただ釣り合わなかったから。それなのに、私の気持ちなんて想像もせずに。心底迷惑そうな顔で、私を平凡な女だなんて。


 イリーナは、戦いによって証明しなくてはならないと、自分自身に強いプレッシャーをかけていた。自分の選択が間違っていなかったことを、ここで皆に示さなくてはならない。

 実際には、イリーナとルティアの関係に注目している人間はそれほど多くなかった。親友であるアレクシアすら、ルティアのことなんて、イリーナをからかうための材料に過ぎなかった。

 幼いころ恋心を抱いた相手に対して気まずさを感じることなんて、結構多くの人が経験していることでもあるし、戦いによって証明せずとも、イリーナの才能がそれなりに優れており、反対にルティアが気の毒なほどに魔術に向いていないことも、人の魔力量を見ることのできる程度の目を持っている者なら、明らかなことだった。

 しかしイリーナは、そういう事実を無視して、自分の主観の中に引きこもってしまうほどに、感情的に未熟であったのだ。その一点に関して言えば、ルティアの方が有利であった。


 ルティアの杖は、パレルモの初等魔術学校で配布されたものだった。自分に向いている武器が何なのかわかるほど、ルティアは戦闘の心得があるわけではなかった。

 対して、イリーナは、エーテルの操作を苦手としており、瞬時に防御壁を展開できる自信がなく、盾を所持することを選んでいた。

 また、投射系の魔法をイリーナは得意としており、それゆえ杖ではなく、短剣を媒体にしても、高精度で放つことができる。本来であれば、短剣である必要はないのだが、まだ年齢的にも精神的にも幼いイリーナは、自分は近接戦闘もこなせるのだという自負を持っており、それゆえ短剣に固執していた。

 事実として、イリーナは肉体強化の魔法を人並み以上に得意としており、剣技もまずまずだった。長い剣を持たなかった理由は、投射のしやすさと、遠距離魔法の起動の速度を優先した結果だ。

 イリーナの武器の選択は、半分は合理的で、半分は彼女の趣味であり、未熟だが才能のある若者らしいものだった。


「はじめ」

 レスフィスが、合図をしてすぐ、意外にも、先に攻撃を仕掛けたのはルティアの方だった。左手から取り出した釘を三本宙に放り投げて、それに杖を向けて魔力を込める。釘の先が凍り付き、頭の部分に伝属性の魔力を付与する。

 アイスボルトという基本の攻撃魔法は、ライトニングボルトの発展形である。ライトニングボルトの仕組みは、釘などの、金属製の物体の手前の部分に伝属性の魔力を込めることによって、それに触れたエーテルに小さな魔力許容量超過の爆発を起こさせ、その衝撃で推進していくものだ。

 エーテルはそれ自体が物体が進む抵抗になるが、氷属性の魔力を先端に付与することによって、エーテルと物体が衝突する前に、氷属性の魔力がエーテル中の魔力を吸収し、抵抗を減退させる。アイスボルトは、ライトニングボルトよりも、効率よく、正確に対象まで届かせることのできる、もっと基本的かつ、一般的な攻撃魔法である。

 ルティアの三発のアイスボルトは、正確にイリーナの方向に向かっていった。追尾性能はなかったものの、速度は十分である。イリーナは避けることもできたが、その威力を試すように盾を構えて、受け止めた。アイスボルトが直撃した部分の盾が凍り付く。もし、エーテルの壁であったのならば、氷属性によってその魔力が吸収され、維持できなくなっていたかもしれない。しかし物理盾の場合は、多少脆くなることはあっても、氷属性からはほとんどダメージを受けない。

「それで?」

 イリーナは、先ほどの攻撃ですでに息をあらげているルティアを煽るようにそういった。悪くない攻撃であったが、この程度で魔力が切れかけるのは、魔術師として失格だ。


 イリーナは、アイスボルトは使わない。釘という物理的な物体を使うのは、エーテルを固める分の魔力を温存するための策であり、それを取り出す分、一動作遅くなる。盾と短剣という風に、両手がふさがっている装備の彼女にとって、その選択肢はなかった。

 その代わり、彼女はその潤沢な魔力を用いて、短剣をルティアに向け、その短剣の先でエーテルの塊を形成する。その形は歪で、エーテル操作があまり得意ではないのは誰の目にも明らかだが、それでもエーテルの硬度は十分である。ルティアが放ったのよりもはるかに質量の大きい氷のつぶてが、十数個形成され、それが一斉に射出される。ルティアの放ったのとはことなり、それは正確にルティアの方には飛ばず、かなり逸れた位置にそれぞれ飛んでいったが、途中から曲がり、ルティアの方に追尾した。ルティアは、逃げるのではなく、イリーナの方に向かっていった。

 その足は遅かった。もしイリーナが退いて、同じような魔法を打ち続ければ、ルティアに打つ手はなかった。だがルティアは、必ずイリーナがこちらに来ることを確信していた。杖しか持っていないルティアと、剣と盾という近接戦闘向きの装備を持っているイリーナ。当然有利なのはイリーナであり、そんな彼女が退いたとなると、それは不合理であり、彼女自身の自信や冷静さが、疑われることになる。イリーナは、そう思った。

 だが実際には、予想外の動きがあったときに、有利不利は考えず、まずはいったん距離をとるというのが、魔術師としての正しい在り方だ。基本的に、リスクは避けるべきなのだ。

 イリーナは優れた才能を持っていたが、やはり精神的には未熟であった。それゆえ、ルティアにチャンスが生まれた。

 ルティアは、イリーナが先ほど放った十三発のアイスストーンの中に、追尾性能がきわめて高いものが混ざっていることに気づいていた。繊細な魔力に対する感覚を持つということは、瞬時に相手の使用した魔法の特性に気づけるということである。

 イリーナの方は、魔力の扱いが全体的に雑であり、先ほどのアイスストーンも、十三発の氷のつぶてに含まれた追尾の術式も、それぞれ、より強く追尾するもの、ほとんど追尾しないものといった風に、大きく性能がばらついていた。ルティアはそれを見越して、それに気づいた瞬間に、イリーナに接近することに決めた。

 魔力量は、まだ十分残っている。肩で息をしたのは演技。右手で杖を持ち、左手にはお守りとして持ってきた魔物のコア、つまり魔石を握っている。これは、魔力量が少ない魔術師が、それをカバーするための手段のひとつである。魔石は魔力を保存するのに向いており、消費しても、あとで自分の魔力を込めることで元に戻すこともできる。ただ、魔石から魔力を引き出すのには時間がかかり、瞬時にそれを利用するとなると、砕くしかない。

 予想通り、ルティアよりもはやい速度で向かってきたイリーナを見て、ルティアは自分が勝てる可能性を感じた。手に持った魔石を砕いた。砕くことによって、魔力が空気中に溢れる。そしてエーテル中に溢れた魔力を利用して、素早く術式を構築する。

 ルティアは、即座に向いている方と直角に吹き飛んだ。空気中に溢れた魔力に、伝属性の魔力を付与したのだ。アイスボルトを飛ばすのと同じ要領で、自分自身を横方向にはじいたのだ。

 目の前から消えたルティアを目で追ってから、イリーナはまずい、と気づく。四発の自らが放ったアイスストーンが、ルティアではなく、自分を狙っていた。基本的に追尾系の攻撃魔法は、もっとも近い生物を狙うようにできている。当然、術者自身を例外化するように組むのが基本であり、イリーナもそうしていたはずだが、攻撃対象の例外化は、あくまでその優先順位をもっとも下げるという形式が一般的であり、完全に禁止するものではない。ルティアがアイスストーンの追尾射程外に逃れ、さらにその至近距離にイリーナがいるならば、当然それはイリーナを追尾する。

 場外からは歓声が上がる。見ていたアレクシアは、ぽかんと口を開けて「彼、結構やるじゃん」とつぶやいた。


 イリーナは盾を構えたものの、先ほどルティアが放ったアイスボルトよりはるかに威力の高い自分自身の攻撃に、よって、二発で盾が砕け、残り二発のうち、一発をかろうじて避けたものの、もう一発を手ぶらになった左肩にもろに受けてしまう。肩が凍り付くが、イリーナは瞬時に反属性、熱の魔法で氷を解く。

 ルティアは、再びアイスボルトの魔法を唱える。先ほどより威力の高いものを、五発。追尾の属性も付与している。自らの魔力をすべて使い切るつもりで、放った。


 イリーナは、肩に走った強い痛みで、かえって冷静になっていた。自分は、ルティアを甘く見ていた。彼は、決して弱くない。魔術師らしい、卑怯で、賢い戦い方できる男だ。

「出来損ないと言えども、ケイロス家の一員というわけね」

 そうつぶやいて、イリーナはとどめをさそうとしてくるルティアを睨んだ。盾は壊れている。左腕は、先ほどの攻撃の影響で、魔力回路がおかしくなっていてうまく動かない。あるのは、右手にもった短剣のみ。空気中のエーテルを固めて防御壁を形成するのは、おそらく間に合わない。ならば、とイリーナは覚悟を決める。一か八かだ。

 イリーナは、持っているナイフを放り投げた。その決死の一撃は、決してルティアを侮ったものではなかった。むしろ状況は不利であり、ほとんどの確率で自分が敗北する。その現実を受け入れたうえでの、覚悟のこもった投擲だった。

 そのナイフには、加速の魔法、追尾の魔法、さらに冷属性の魔法も込められていた。イリーナは、かつてないほど繊細かつ正確な魔力操作によって、勝敗を決める最後の一撃を、放り投げたのだ。

 ルティアにとって、その攻撃は予想外だった。プライドの高いイリーナはおそらく、たとえそれが不可能であるにせよ、躱すか、防ごうとしてくるとルティアは考えていた。現実を受け入れず、ルティアの攻撃程度で自分が負けるはずがないと、ここまで来ても侮ってくると考えていた。

 にもかかわらず、イリーナは、すぐさま現実を受け入れ、苦し紛れの一か八かに打って出た。そしてそれは、極めて正しい選択であった。

 対応が遅れたのは、ルティアの方だった。もしすぐさま発動直前のアイスボルトの術式を解き、回避と防御に徹したならば、その一撃で勝敗が決することはなかったかもしれない。

 しかしルティアは、とどめの一撃を発動することを選んだ。遅れて、アイスボルトが射出される。その直後、ナイフが彼の腹部に刺さり、倒れこんだ。

 イリーナは、冷静だった。ナイフが当たったかどうかは確認せず、ナイフを放り投げた直後に、後方に向かって走りだしていた。先ほどの攻撃から、ルティアの術式構築が素早く、正確なのは理解していた。そして、五発のアイスボルトが、先ほどとはことなり、当たれば無事では済まない威力で放たれたことも、理解した。ナイフを先に投げられるほどに、魔力を込める時間が長かったからだ。

 それゆえ、イリーナは判断した。よけたり、防いだりすることはできない。だが、ダメージを少なくすることはできる。出来る限り距離を取り、氷属性の反属性である熱属性の魔力を、エーテル中に満たしておく。そうすることで、空気中のエーテルは抵抗力を増し、アイスボルトの速度を落としてくれる。

 五発のアイスボルトが、背を向けて逃げるイリーナの背に次々突き刺さる。イリーナは地面に倒れこむが、何とか立ち上がる。三発が皮膚に突き刺さったが、骨には至っていない。激痛を感じたが、動けなくなるほどではない。ルティアの方を振り返ると、彼は自力で腹部に刺さったナイフを引き抜いたものの、血止めの魔法を唱えるだけの魔力は残っていなかったようで、血が彼の下半身を染めていた。

「勝負あり、だな」

 レスフィスが、すぐさまルティアの方に駆け寄り、血止めと治癒の魔法をかける。ルティアは情けない叫び声をあげる。重い傷をいやす際には、激痛が走るのだ。

 だが、それだけではない。ルティアはただ純粋に、悔しかったのだ。悔しくて、涙を流していた。

 負けるのはわかっていた。ここまで善戦できたのは、ルティアにとっても予想外だった。それでも、なぜかとても悔しかった。勝ちたかった。勝てるかもしれないと思った。いや、勝てるに違いないと、確信した瞬間さえあった。

 それでも、負けたのだ。ルティアはその現実に、涙をこぼした。自分の全部を出し切ってなお、自分を侮り、馬鹿にした相手に、勝つことができなかった。

「ルティア」

 イリーナは、傷が治ってなお、地面にうずくまって立ち上がらないルティアを見下ろす。イリーナは自身の背の傷を、自らの治癒の魔法で癒した。彼女の魔力は、半分どころか、二割もまだ使い切っていなかった。

「私が悪かったよ」

 イリーナはただそう言って、地面に散らばっている自分の盾に目をやったあと、血で汚れた短剣を拾って、グラウンドから立ち去った。

 アレクシアがそのあとを追いかけたが、ふたりは何も語らなかった。イリーナは、自分の戦いを冷静に振り返っていた。ルティアとの関係のことは、もうどうでもよくなっていた。

 自分の未熟さに、イリーナはひとり向き合っており、それがまさに、魔術師としての才能であった。



 泣きじゃくるルティアを、兄であるレスフィスは放置した。傷は治したし、あとは自分で立ち上がるべきだと彼は考えたのだ。

 レスフィスは、ルティアが予想以上に善戦したことを、アリシアとアイルに報告することを考えていた。アイルは、ルティアを連れ戻してほしいとレスフィスに頼み込んだわけだから、レスフィスはそうすべきでないことを、逆にアイルに説明して、説得しなくてはならない。逆に、アリシアには喜ばしい知らせを届けることになる。

 出来は悪いがかわいらしい末の弟が、才能に溢れるメロイ家の長女相手に善戦し、実力を認めさせた。

 イリーナはおそらく、今後ルティアを悪く言うことはないだろう。最終的に勝利できたとはいえ、盾を破壊され、短剣を手放し、背を向けて逃げることにまでなった。

 レスフィスは、自分が戦技科にいたころを思い出した。血気盛んだったレスフィスは、教師陣にも決闘を挑んで、何度も叩きのめされた。そのたびに恥ずかしい思いをしたが、同時に、その経験の積み重ねの結果として、今の自分があるのだと思うと、同じ道を歩まんとしている弟に、ほほえましいものを感じずにいられなかった。

「ルティア、頑張れよ」

 誰も聞いていないところで、不器用な兄、レスフィスは振り向かずそうつぶやいた。


「大丈夫?」

 五分ほど経っても地面にうずくまったままのルティアを心配するものは多かったが、皆遠巻きに眺めているだけだった。見かねたエアが、しゃがみこんで、彼の肩を叩いた。

「大丈夫」

 その声は、涙声だった。

「惜しかったね」

「悔しい」

「またリベンジしよう」

 そう言って、エアはルティアの背中を強くバンバンと叩いた。ルティアはなんだか腹が立って、顔をあげて、声の主の姿を見る。目があって、エアはニコッと笑う。ルティアは、言葉を失う。

「私、エア。君は?」

「ルティア」

「ティア君ね。戦技科の新入生だよね? 私もなんだ。よろしく」

 そう言って、手を出された。ルティアは、ごく自然にそれを握った。

「そうだ! このあと一緒にご飯食べに行かない? あ、できればさっき戦ってたあの子も一緒に」

 そう言ってエアはきょろきょろとあたりを見渡したが、イリーナの姿は見当たらなかった。彼女はすでに自分の新しい部屋に戻っていた。

「ま、いっか。ほら、ティア君いこ。紹介するね。こっちがカタリナ。リナちゃんって呼んでる。んで、こっちがヴァイス。イスちゃんって呼んでるけど、時々オラヴァイス! って呼ぶよ」

「最近エアさん私の扱い雑じゃないですか? あ、ルティアさん、よろしくお願いします。魔力大丈夫ですか? 尽きてますよね?」

 背が高く、見事な白髪の美女に、ルティアは目をそらす。隣にいる赤黒い髪の少女の方は、エアやヴァイスよりも容姿が普通だったため、少しほっとした。

「ルティア、よろしく。私たち三人は戦技科に入ることになったんだけど、急に決まったことだから右も左もわからない。いろいろ教えてくれると助かる」

 ウスティカに来て早々決闘に巻き込まれ、さらに美しい三人の女性に絡まれて、ルティアは現実感を失って、頭がくらくらした。

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