閑話 鳥人の歌
エア
「ふんふふふーん」
エアは鼻歌を歌っている。
ヴァイス
「それ、どこかで聞いたことありますね」
エア
「この大空と ともに生きてる あなたとともに 生きてゆきたい
あぁ晴れやかな この毎日が 続くようにと 続くようにと 祈り続ける 祈り続ける」
ヴァイス
「あ、わかりました。鳥人族の民謡ですね。ハープさんが前に歌ってました」
エア
「正解! 前に教えてもらったんだ。ハープちゃんみたいにうまくは歌えないけどね」
ヴァイス
「いやでもじょうずでしたよ」
エア
「ありがと! それにしても、鳥人族ってみんな歌がうまいみたいだね。ハープちゃんが言ってたよ。歌と踊りに関しては、鳥人族の右に出るものはいないって」
ヴァイス
「確かに彼女らはみんなうまいですね。帝国でも、鳥人族の有名人のほとんどは芸能関係者ですし。まぁでも歴史的には、そういう長所も、無理やり純人族にひっとらえられて見世物にされたり奴隷として飼われることが多くなった原因になったりしたんですけどね」
エア
「ほえー。あ、でも、私鳥人の奴隷さんみたことないよ?」
ヴァイス
「鳥人に限らず、純人族に奴隷化された人種って、どうしても二三百年でほとんど全滅しちゃうんですよね。そりゃ、ずっと続けてた自然な生活を無理やり奪われて、誰かの欲望を満たすためだけの存在として扱われたら、そうなりますよ。で、結局今や純人同士が互いに争って奴隷にしあってるわけですね」
エア
「あぁ。だから純人以外の人が滅多にいないのか」
ヴァイス
「戦う能力が高くて、頭のいい種族しか、純人の迫害から生き残れなかったんですよ。たとえば、私たち竜人族みたいに」
エア
「でも帝国では、色々な人が生きているんだよね?」
ヴァイス
「ですね。それに関しては、陛下がうまくやった結果です。逆に言えば、陛下くらいの人がいなければ、純人がほとんどの種族を支配して奴隷化して、ダメにしちゃいます。あいつら、私たちも含めて純人以外の人族をまとめて亜人なんて呼んだりしますからね。失礼極まりない」
エア
「どうしてなんだろうね。私も多分、純人だけど、みんな仲よくすればいいのにって思う」
ヴァイス
「一部の支配欲の強いやべーやつのせいなのか、純人の底に流れる暴力的本能なのかはわかりませんが、気を付けておくにこしたことはありません。エアさんも、いつも言われていると思いますが、自分の身はちゃんと守ってくださいね」
エア
「うん。わかってるよ」