表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

第1話 一夜の過ち

挿絵(By みてみん)


※タイトル画像は、盟友「秋の桜子」さまより頂戴しました! 二人のイメージそのままです。秋の様、ありがとうございます!

やっちまった──ッ!

小綺麗なマンションの一室。

ベッドの上には毛布に絡まった裸の私。

そのベッドの下にはトランクスと黄色いTシャツの後輩、ダサくて暗い伏見。つうか下着もダサ。

目を合わせないけどニヤつきながら正座してる。


「お、おはようございます。先輩」


なぜこうなった──ッ!?

全然覚えてない。それにこのマンションの部屋は伏見のってことだよな。くー。連れ込まれたんじゃなしに押しかけたに違いない。


裸だけど……。まさか一線は越えていまい。伏見は留まってくれたに違いない。


「自分初めてで……チャハハハ。すいません。凄くよかったです」


越えてた~!

チャハハってなんだよ。感想言うな。ヤボかよ。

何でこうなった。

思い出せー。思い出せ。






昨日、土曜日は会社の営業部、吉高係長と同僚の聡美との結婚式──。

つかなんで聡美なの?

吉高さん、私とも関係もちながら聡美ともよろしくやってたってこと。さすが営業さん。どーせ遊べる女だと思ってたんでしょ。腹立つわ~。

聡美から呼ばれるってのも腹立つけど、聡美は知らないもんね。私と吉高さんの関係なんて。

ビール注ぎに行ったときに酔った勢いでマジぶちまけてやろうかと思ったわ。


「吉高さん。おめでとうございます」

「お。今日はありがとう」


目が──。

なにも言うなっていってた。

なんで?

アナタに命令されなきゃならないのよ。悔しい。


「今まで、ありがとうございました」

「いやいや」


良い子。いい遊び相手。後腐れない関係。

そう思ってなさい。

絶対後悔させてやる。


アナタよりいい男捕まえてやる。

アナタよりもずっとずっと出世できる男と結婚してやるから。






それが──。


「先輩、あの。朝食食べに行きませんか? もしよかったらなんですけど……」


なぜこんなやつと!


吉高さんの後輩である伏見くんは、仕事も出来ないし、暗いし、ダサい。なぜ営業部なんだろうってくらい。

全然いい男じゃない。私の目標はこんなんじゃない。


「あの……伏見くん?」

「ハイです。先輩」


「昨日、どうしてこんな流れになったんだっけ?」

「あ、吉高さんの結婚式二次会で一緒になって、先輩にお酒注ぎに言ったら座るように言われて、その~後は先輩が自分の部屋をみたいとのことだったので。ハイ」


そんなこと言ったのかよ~。

全然部屋見てねーよ。しかし高そうなマンションだな。ベッドルームの他はどうなってんだろ。つかウチの給料ではこんなマンション買えないんじゃないか? 親の金かなぁ。


「マンション自分で買ったの?」

「いえ、親に。大学に通うのに一人で暮らして見ろって言われて、その流れで暮らしてます」


「大学はどこ?」

「早慶です」


早慶かよ。頭いいじゃん。つか、勉強勉強でオシャレの勉強はしてこなかった感じかな?

なんにせよ、吉高さんよりいい男でもないし、将来性もない、仕事も出来ない。こりゃないわ。


「あの、先輩。朝食……」

「えーと、伏見くん」


「ハイっす」

「昨日のことは忘れましょ。お互いに酔ってたし、悪い夢だと思って……サ」


そう。こんな歴史は消してしまう方が手っ取り早い。さっさと服着てでよう。

私が服を着てると、背中から伏見の声。


「あの。自分は悪い夢なんかと思ってないです。先輩に前から憧れてましたし、昨日のことは人生最良の日!」


オメーじゃねぇよ。私の方がだよ!

なんにも分かっちゃいない。童貞のダサ坊がよォ~。


「伏見くん」

「は、ハイっす!」


「人生最良なんて言っちゃダメ。これからもっと良い日があるでしょ。結婚とか、子どもが産まれるとか。そう言う日のために取っておきなさい」

「は、は、ハイっす!」


うぉーい! 目がキラキラしてるよ。

それは私じゃねーからな?

オメーと同レベルの雑魚女とってことだよッ!

このボディにいくらかかってると思ってんの?

エステも髪もネイルも磨きに磨いてここまでの女になったのよ?

ダサダサの坊やはお呼びじゃないっつーの。


「じゃゴメン。帰るね」

「あの、送ります」


「いい」

「遠慮しないでください」


遠慮じゃねぇわー。

ついてくんなよ。ダサいスウェット。うぉーい。

こんなところ誰かに見られたら──。


「あれ。聖子さん?」

「聡美……。それに吉高係長──」


マンション出たところで、旅支度した二人と道ばたでバッタリ。今、ホテルから出て来てこれから新婚旅行かよ。


「吉高さん、お疲れさまです」

「おう伏見。なんだ。二人、付き合ってたの?」


終わった。一番見られたくない相手に見られた。

この時間を消し飛ばしたい。出会った結果を消したい。

ついてくんなって言ったのによぉーッ!

クソ伏見がぁッ!


「お似合いだよ。キミたち」


は?

は?

はぁーッ!?


吉高テメェ。人のこと捨てといて、私を伏見レベルだとぉ!?

頭来た。来ちまった。




「そうなんです。伏見くんは本当にいい男で」

「せ、せ、せ、先輩!?」


なんだよ、伏見。その蕩けるような目はよぉ。

いーよ。私の力で、コイツらがハワイから帰ってくる来週の月曜までに最強の男にしてやるからよーッ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これは期待!
[良い点] こんにちは。 伏見くん、良さげな感じですね。すごくいい子そうです。 こういう子のほうが絶対いいと思うのですが。 2人とも頑張れ〜! 書いてて思ったのですが、わたくし感想がものすごく近所…
[一言] 吉高最低だな!ww これは見返してやるしかない( ˘ω˘ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ