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粒をならべていく阿弥羅 3
「分かりました。話しても無駄のよう。きっと何を言っても懇願しても、あなたは私を破壊して食べてしまうでしょう。いのちがけで拵えた真珠の塚をも」
「話が早いね。拍子抜けなほどだが。まあ有り難う。凍て野の『涙』がお前くらい物分かりが良けれあ、俺もこんな柔弱な空間で右往左往していまいさ、きっとな」
と、舌舐めずり。
けれど其の害気は、どこかしら毒を萎えさせた様にも感取れました。何故でしょうか。
涙、という言葉に鍵があるのか。しかし阿弥羅にその様な理の糸をたぐる余裕や猶予はありません。
ただ、本能に則して脳や脣が反応するばかりでした。
「均質です」
阿弥羅の声色は真珠化しながらも、空に白骨を晒していくんでした。
其れら氷屑一粒一粒は、ひんやり氷柱の形状に尖り、悲しい様に覇気を宿します。
「ですが、均質と言うことです。鰐さん」