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粒をならべていく阿弥羅 1



《 粒をならべていく阿弥羅 》



 阿弥羅(あみら)という真珠製の少女がいて、偶発的に空中に凝固する音の粒を、手に(すく)い、これも真珠製の器にそっと並べていくのでした。


その時に鳴る音はひどく優しく、此の東京の(どよ)めきや(ざわ)めきとはかけ離れた、至上の音楽であり、それ故にまた其の音楽自体が(こご)り、硬く円い粒子として阿弥羅の手に掬われるんでした。


だから循環を為していたんです。

阿弥羅と白い様な音楽とは。


 だが或る時に、これは隣の空間に生息していた鰐が、阿弥羅の蒐集(しゅうしゅう)した粒をおいしそうに思いました。


鰐はつねに空腹でしたからね。

あの凍て野のさき、氷の湖から這い現れた鰐でした。つまり存在のむこうから来た存在でしたから、臓器や胃の腑といった形質さえも、半分、分子化して霧に成っている様なものでした。


東京のいきものとして生息・生活している我々には推し量れない感覚ですよね。癒えることのない空腹。わたくし達いきものはモノを摂食すれば満腹という感覚を覚えるでしょう。

その終着を欠いた神経系統を所持している鰐なんです。なんだか(こわ)いですね。


鰐は名を青濘(ぶね)と言いました。




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