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十九話「作戦会議」

 これで三度目になる会議室への招集は突然だった。

 お馴染みの顔ぶれとなったミア、ゼノ、トシアキの他に、メイド服姿になったリトルリトル、元ストーマ―のブギーも集められ。会議室はわずかに賑わっていた。

「緊急の招集にも構わずよく集まってくれた。今回は幹部会議ではない。私の発案する作戦のために意見を募ろうと思う。その作戦とは」

 ミアが小さい身体で精いっぱいの仁王立ちをして、お題目を発表した。

「ドキッ奴隷を解放して我々の仲間にしちゃおう計画だ!」

 枕詞はともかく、安直な作戦名だ。

「奴隷、というとアマンダの街のことか。まさか集めた資金で買い取るつもりか?」

「いや、ブギーのおかげで資金も充実してきたとはいえ、大事な軍資金だ。悪の組織なら悪の組織らしく強奪しようではないか」

 つまりアマンダの街で騒動を起こすと言うことだ。その言葉に皆息をのむ。それはアマンダの街にいるヒーロー協会、ボランティアとことを構えるのと同義だからだった。

「直接でないにしろヒーロー協会と戦うことになるのか。ついに、だぞ」

 一番興奮しているのはブギーだ。そもそもストーマ―からデュラハンに移籍したのも、アマンダの街に自警団として返り咲くのが目的のようなものだ。本懐なのだろう。

「奴隷の解放か。ミアとしてはどんな作戦を考えているんだ?」

「それはドーンと行ってバーンとやってバタバタ逃げるって寸法よ」

「… …勢いは悪くないが、作戦の体を成していないな。俺からは陽動作戦を提案する」

「ふむ、内容は?」

「最初は密かに数人街に潜入し、奴隷の確保を行う。その後、東門を外から襲撃しヒーローやボランティアの注意を逸らす。逃走は南門に向かい、内側と外側から呼応して脱出するという算段だ。どうだ?」

「うーん、採用!」

 ミアはよく考えてなさそうな顔で承諾した。

「なら俺は部下と共に東門と南門の外から襲撃をかけるぞ。元ストーマ―だからどのみちアマンダの街に入れないからな。中での活躍は任せるぞ」

 ブギーはトシアキの言葉を受け、そう反応した。

 続いて、ゼノも会話に入る。

「私は現場に出れないけれど破壊工作のための兵器なら任しておくワケ。ダイナマイト、IED、プラズマ爆破収束兵器。何でもござれなワケ」

「それに、エクゾスレイヴもあるしな」

 トシアキが言葉を挿入すると、ミアが素早く立ち上がった。

「エクゾスレイヴ! 稼働できるのか!?」

「落ち着け、座ってろよ」

 ミアがすごすごと席に着席した後、ゼノが説明を始めた。

「エクゾスレイヴの製品名はアゲハ、巨大な腕部が特徴的な戦闘用エクゾスレイヴの一種なワケ。修理と清掃の結果、問題なく稼働。経年劣化ほぼなし。一部部品の交換はあったけど、持ち合わせで可能。戦闘用とはいえ、腕部の爪も外していつでも作業用に使用可能なワケ」

 トシアキがなるほど、と相槌を打っていると、すかさずミアが質問した。

「そのアゲハというエクゾスレイヴはもっと機能はないのか? ロケットパンチなどないのか。必殺プラズマビームも撃てたりしないか」

「おいおい、無茶を言うなよ」

 ゼノはその言葉に、沈痛な面持ちで応えた。

「残念ながらアゲハでは出力が足りないワケ」

 そう言えば、ゼノもどちらかと言えばミアと同じ種類の人間だったのを忘れていた。

「しかしこのアゲハは機動性においては優秀。ターボエンジンこそ積んではいないけど、脚の裏にある収納可能なローラーを用い円滑なマニューバが可能なワケ。その姿はアイススケートリングを思わせ、重厚なエクゾスレイヴの装甲とのアンニュイな組み合わせは最高な対比を演じるワケ」

 ゼノは赤い目を興奮気味に爛々と輝かせ、熱に浮かされた様に謳う。

 トシアキ自身はミアの壮大な要求のわりに地味な仕様だなと感じた。だが、他三人には別のものに映っているらしい。

「つまり高速機動が可能なわけですね」

「旋回しながら銃の掃射もできるな。見栄えがよさそうだぞ」

「うむ。流石ハカセだな」

 ミア、リトルリトル、ブギーともに大絶賛である。やはり趣味趣向がわずかにトシアキと違い、中々賛同しにくい。

「よし、決まりだ。トシアキの作戦を主軸にエクゾスレイヴを初運用する。これで決定だ」

 そしていつのまにか、作戦の主目的がエクゾスレイブの運用にすり替わっているような形で、その日の作戦会議は終了した。


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