実験台。
その日から僕は本当なのか気になっていた。
実験として誰かを殺さないといけないのか
…
でも恨んでいる人なら死んでしまったって構わないのかな……
「ふふ…」
不敵な笑みを浮かべた。
ここに誰かがいたら本当に気持ち悪がられるだろうな…
これから僕の復讐劇が始まるんだ…
次の日、弥栄に呼ばれ、人目につかなそうな校舎裏に来た。
自分が実験台だとは知らない弥栄を見て、ついつい笑ってしまいそうになる。
それをギリギリで抑えた。
「お前がやったんだろ。そろそろ白状したらどうなんだ?」「…」
「お前、森田の事相当恨んでたんだろ?動機はあるよなあ?」
「だからって、僕が殺したっていう確証は無いじゃん」
「口答えすんのか」
左手で髪を引っ張られ、右手で顔を思いっきり殴られた。
口答えじゃない。ただの意見だ。
死んだ父親と一緒だ。何が口答えだよ。
自分が論破されるのから逃げたいだけのクセに。
都合がいい奴だ。
“でも”っていう言葉を聞いただけで口答えになるなんて。意味が分からない。
ちゃんと最後まで聞いてあげろよ。
大人だろ。
なにかと自分より偉い面する。
そのくせ不都合な事があるとその事実から逃げたがる。
本当に、都合がいい。
言ってみたらスッキリしそうだな。
言う前に死んでしまったけど。
いや、この実験が成功したら…
“僕が殺した”
となるのか。
間接的にでも。
ずっと髪を引っ張られていた事にようやく気付いた。
あ、そうだ。
死ねよ。
「なんだコイツ。ビクともしねえ…」
弥栄が髪を引っ張るのをやめた。気持ち悪く思ったのだろうか。
本当に死ぬのだろうか。そう思うと少し怖く思えてくる。
一週間後の事だった。
効いていなかったのか不安になりつつ学校に向かった。
途中、ふと、嫌な気を察知し、周りを見渡した。
「え…………?」
見てしまったのだ。
そこには、弥栄が横に倒れていた。
髪は全て抜け、口から血を吐いていた。
耐えられなかった。
吐き気が止まらない。
力を振り絞って警察に電話した。
自分が更に嫌になった瞬間だった。




