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二人目。
なんとか教室まで戻ってこれた。
もう授業が始まって10分が経っている。
扉を開けた。
どっと、重い空気が流れる。
教師やクラスの秀才までもが、僕の傷を睨むように見ていた。
「え、何あれ。痛そう…」
「うっわ」
視線と言動が僕をさらに痛めつける。
いままで いじめ をしてきた相手に抱く怒りが、悲しみに変わっていく感じがした。
それからというもの、あの日よりかは酷くなくなったが、毎日昼休みに呼びだされ、あのトイレで殴られ、蹴られ…
痛かった。長峰よりキツかった実感がある。
泣きたいのに泣けない。
“慣れ”って怖い。
もうこんな人生に飽きてきた。
死ねばいいのに。
寒気がした。
何か悪いことがありそうな気がする。
その2日後のことだった。
森田が死んだ。