転校生。
ちょっと長くなってしまいました。
朝から教室内がざわついていた。
というのも、周りの話し声を聞いただけなのだが、今日はこのクラスに、転校生が来るらしい。
教室に先生が入って来た。
「みなさん、知ってる人もいると思うけど、今日からこのクラスに転校生がやってきます」
前の扉からその転校生らしき人が来た。
格好は清楚に“見せてる”感じがした。
「じゃあ、森田君、挨拶を」
「俺は森田隆だ」
簡潔とした挨拶と同時に、ちょっとした寒気がした。
後々話を聞いていたら、こいつはどうやら全国1、2を争う不良校から来たらしい。
こいつのせいで、僕の人生がまた狂う事になるんだ…
数日後。
転校生が来てから、ずっとイヤな予感がしていた。
言葉では表せない、何か。
森田の周りには人は寄って来ない。何か嫌なオーラを放っているようだった。
「おい、お前ら、ちょっと来い」
突然、クラスの数名を森田が呼んだ。
その顔は、何か怒っているようだった。
周りがざわつき始める。
「え、なんですか……めんどくさ」
「あ、今なんつった?」
「え、いやー…そのぉ…わかりm」
言い終わる前に、僕の目の前で殴られていた。
一瞬の沈黙があった。
「キャアアアアアアア」
クラスの女子が叫ぶ。
クラスの全員が逃げていった。
でも僕は、目の前で暴力を受けている人を見て、
こんな感じで見られてたんだ。
そんな事を思っていたのだ。
助ける事もしないまま、ただ立っていた。
その時だった。
「何見てんだ」
「お前もこうされたいのか?」
「うっっ」
このまま殴られ蹴られ、顔中に痣が出来ていた。
「………」
「何か言えよ!!」
髪を引っ張られた。痛い。咄嗟に死んだあいつを思い出す。
名前は確か長峰だったような……
もうこんなのには慣れてしまっていた。
自分でも少し悲しかった。
「なあ、何か言えよ」
何を言えって言うんだ。
何も思い出したくない。
僕には普通に生きることも許されないのだろうか。
「お前ら、こいつ連れてこっち来い」
あーあ。また始まるのか。
周りの視線が僕の胸に刺さる。
「お前ら遅いぞ」
「すみません…」
「ここって…」
来た事が一度も無いところだった。どうやらトイレのようだ。
「ここはこの学校で一番人気の少ない所だ」
臭いはなかったが、蜘蛛の巣が天井に張り巡らされていた。
掃除も行き届いてないのか。
でも何でこんな場所を知っていたのか。
「お前ら、コイツを殴れ」
「え……」
「いいから殴れ!早くしろよ!」
「ご、ごめん」
そう呟いて、殴られた。手加減してくれていたみたいだった。
「弱いんだよ!見とけ。こうするんだよっ!」「ぐはぁっ!」
お腹を強く蹴られた。息が出来なくなる。
痛い。痛い。痛い。
目が覚めた。置いていかれたのか。もう授業が始まってる。
「痛っった」
足が痛い。見ると、痣だらけになっていた。
足を引きずりながら、教室を目指した。