第2話 これが異世界召喚
「うう…」
「大丈夫?」
「由里。ここは」
魘されながらも真汰は目を覚ますと由里が心配して駆け寄ったが、すぐに自分がいる場所を見回して確認する。それは石造りの巨大な広場で、天井と床には魔法陣が描かれていた。
さらに真汰と由里だけでなく誠司達クラス全員と、白いローブを着た魔法使いが10人程。
「ここって…たしか…」
すぐに真汰は思い出した。突然、教室の床から魔法陣が展開して、クラス全員が眠りについてしまったことに。
「なんだよここは!?」
「ちょっと待って、これって…」
「この展開ってもしかして」
当然、初めはクラス全員混乱するが、自分達が異世界に召喚された事に理解した。マンガやアニメとかであるような異世界転移に。
「成功した!」
「奇跡だ!」
「召喚は完璧だ!」
そして魔法使い達は歓声を上げて喜び合ったりした。
「なんだろうね?」
「分からないけど、彼らが召喚させたのはたしかだね?」
すると魔法使い達のリーダーらしい男が真汰達全員の前に来た。
「突然のことで申し訳ありません」
いきなり謝罪してきたので芹香が質問をする。
「あの…もしかして私達、アナタ達に召喚されたのですか?」
「そういう事になりますけど…とりあえず、玉座に案内しますのでそこで」
などと返事を返されたので、混乱したまま国王がいる玉座の間に案内された。
彼らに連れて行かされた所は、なんとも豪華絢爛な作りと装飾の玉座の間。周りには騎士と兵士が並んで立っている。
玉座に座るのは、赤いフード付きのローブで頭を王冠が少し隠れる程に被っている白いひげの男。見る限り国王だと分かる。
「よくぞ参られた、異世界の勇者たちよ」
「はぁ、アナタは?」
「わしがバンデフ王国の国王、ディラス・ソム・バンデフだ。ある理由の為に其方達をこの地に召喚させたのだ」
ディラス・ソム・バンデフと自己紹介する男は国王だった。するとディラスはなぜ真汰を召喚した理由を話した。
この世界では人間や普通の動物の他に、魔獣という魔力を持って凶暴な獣も生息している。それが近年より魔獣の動きが活発になり。とくに真汰達のクラスを召喚させた、バンデフ王国が一番被害にあっていた。そこで国王と元老と神官達と魔導士達が、異世界から勇者を召喚させて王国周辺の魔獣討伐に手伝って貰うようにしと考えた。
「という訳なのだ」
などと、とんでもない理由に全員は息をのんだ。まさかその魔獣を討伐する為に召喚させたから。
「じゃあ…1つ、僕達を元の世界に戻す方法は?」
質問してきたのは、メガネをかけた真面目そうな少年。彼は大岳と同じ誠司の親友で学級委員長の横森進。
「それが…異世界からの召喚魔法は禁術なので、帰還の魔法は…」
つまり一度召喚されたら二度と元の世界に帰れないという意味。
この事実を知った生徒全員は
「ふ…ふざけんなぁぁぁぁ!!」
「なんでそんなめちゃくちゃな事を!?」
「危なくてやるわけねぇじゃん!」
「早く家に帰して!」
当然、クラスの半分は国王や周りには騎士と兵士と召喚を行った魔導士と神官達にも罵詈雑言を放った。最早、玉座の間は大混乱。
「待ってください!」
そこに赤髪で真汰達とは同い年ぐらいの男女2人がやって来た。しかも双子のようで2人共同じ顔立ち。
少女はおっとりとした雰囲気で白を強調したドレスにティアナを付けて、少年は少しプライドが高そうで剣を装備している。
「私はバンデフ王国の王女、シフティ・ソム・バンデフです。そして彼は私の双子の弟」
「ラドック・ソム・バンデフだ」
このシフティ・ソム・バンデフとラドック・ソム・バンデフの2人はディラスの子供らしく、2人はそのままクラスの前に立つ。
「みなさんが混乱する気持ちは分かります。ですが、これも国を守る為に仕方がない事です!分かってください」
「そんな事を言っても…」
「ですから、今はなんとかアナタ達を元の世界に送り返す魔法を探したり見つけ出します!それまではお願いします!」
シフティは大きく頭を下げてお願いするとラドックも全員の前で口を開く。
「お前達、姉上がこうして頼んでいるんだ…だったら、それに応じるのが当然だろ!」
頭を下げる姉を心配したのか全員にキツイ目で睨む。これにはクラスは何も言えずに、周りが少し重くなってしまう。だけど、そんな状況で誠司は何かを決意したのか口を開いた。
「分かりましたから、頭を上げてください。それ程この国が困っていたのなら、我々が力になって戦ってたすけてみせます!それでも、もしも僕達の世界に戻る術が見つかるまでという事でお願いします。」
普段から正義感が強い誠司も、さすがに全て受け入れるわけではなく。元の世界に帰るまでの間という条件で協力した。
これには周りのみんなも。
「そうだよな…帰れるまでのガマンはしてみるか?」
「とりあえず、全員死なないという条件でがんばりましょう」
「それに、本当は少し興奮してたんだ。異世界で勇者になるのって」
「あっ!それ俺も思っていたところなんだ」
「私も困っている人を助けたいし」
嫌々さ参加する者もいれば、異世界にこれた事を楽しんでいる者。それから由里もこの世界の人を助けたいという気持ちでいっぱいだった。
そして少し隅で見ていた真汰というと。
「本当に大丈夫かな?」
などと心配するしかなかった。
しかし彼らはまだ知らない。この戦いの本当の真実を
なんとか2話を書きました。3話はクラス全員の能力を知ることになります。