第九十三話 結局
「……本気で送らせる気か、お前ら……」
冗談であってほしかったが、クラスメイト達は本気だった。相変わらず世界は俺に冷たいのである。
「僕たちは用事があるからー」
「用事?」
そんな大切なものがあるならぜひ聞かせてほしいもんだ。
「二次会」
「……不公平じゃね」
「と三次会と四次会と五次会と六次会と……」
「なげえよ!お前らどれだけ遊び呆けるつもりだ!」
アホすぎる。
「……これから一時間以上時間をかけて、酔いつぶれて動けないタツミを連れて行かんのか……」
そうかと思うと、歩く前から随分と疲労感が出てしまう。現在時刻は十一時。……うん、下手打って警察にでも見つかれば、補導されること間違いなし。洒落にならん事態にもなりかねないね。その可能性を皆に指摘すると、驚いたような反応が返ってきた。
「……ひょっとして、かなりヤバイ?」
「ひょっとしなくてもヤバいわ!全く考慮せんかったんか!?」
馬鹿野郎ばっかりか!俺とタツミの人生変わるぞ!
「……まあ大丈夫。手は打っておくから、とりあえず旦那は帰れ」
「……話聞いてたか?」
帰るのがやばいという話だ。
「俺は嫌だからな!」
「……くやしい……俺は無力だ……」
タツミを肩にかけた状態では、二次会に行くクラスメイトを追うこともままならず、結局一人取り残されることに。仲間意識ってもんがないのか!……それとも俺は仲間じゃないと?
「とりあえず帰ろう……俺にはそれしかできない……」
とどまってても捕まる可能性が否定できない以上、少しずつでも歩く方が建設的だ。……そうでも思わないことにはやってられない。後ろ向きな考えは悲劇しか生まない。
「……ん……」
「タツミ?」
「……なおくん……もう……離れないで……」
「どうした?」
「……ずっと……一緒に……」
悪夢にでも苛まされているのか。タツミの眼からは涙がこぼれていた。
「……あ……」
「気が付いたか?」
「……ここ、どこ?」
「宴会からの帰り道。お前今までずっと酔いつぶれてたんだぞ?」
「……ごめん、意識がなかったみたい」
「……まあ、構わんよ」
「今の間は何!?気になるよ!」
「知らないほうがいいことだ」
タツミがあの時のことを知ったら、発狂しかねん事態に陥るだろうし。
「……ううー、気になる……」
だったらもう二度と酒は飲まん事だな。その方がお互いのためだ。
名古屋から帰ってきて早々に書きました。友達んちでハイになってたんで、今、調子がおかしいです。誤字脱字があったらご連絡を。
……こうまでして毎日更新を続けた作者を、誰か褒めてやってください。