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第八十七話 サルベージ

「いけー!深谷!ラスト五十メートル!」

「あと少し、頑張れ!」

「抜かれるなよ!……よっしゃあ!!!」

 最終種目、男子九百メートルリレー。我がクラスは三位と、高順位で幕を閉じた。

「ええいぬるい!俺が走れば一位だって狙えたものを……!」

 清水はこの結果には不満なようだ。そんなこと思うくらいなら、二人三脚なんかに登録しないでリレーに登録しとけ。ついでに言うなら怪我しないよう気をつけて運動しろ。

「いやいや、ラグビーで安全に運動なんてできないだろ」

「まあ、あんな危険なスポーツだしな。俺には絶対できん……で、どうなった?うちのクラスの総合順位は?」

 全種目が終了したので順位も出たはず。

「それがですね……残念な結果に終わってます」

「どうかしたんですか?」

 健三さんが意気消沈している。

「藤田先生のクラスと同順位です」

「具体的には何位なんです?」

「ああ残念です。あと一歩だったというのに……。せめて深谷があと一人抜いていたら……」

 聞いちゃいねえ。

「最後、あのリレーであと一位でも順位が下がったら負けだったわけでしょう?上々な結果じゃないですか」

「……負けてないだけ良かったとしますか。しかし、残念ですね」

「はあ、そうですね」

 たいしてそう感じてないけど。

「藤田先生のクラスに勝っていたら、クラス全員におごってあげようと思っていたのに」

「本当ですか?そうだとしたら残念ですね」

 他のクラスの先生には、ジュースをおごってくれる人もいるらしいし、実現していたかもしれんな。

「クラス全員にチロルチョコを進呈しようと思っていたのですが」

 安上がりだ!

「総額八百円の大プロジェクトだったのですが……おしいことをしましたね」

 それなら買収に使おうとしたポケモン青の方が費用掛かってるんじゃないか?この人の金銭感覚がわからん……。

「閉会式を行います。選手、教員は所定の位置に並んでください」

 執行委員から集合の合図がかかった。ようやくこの体育祭もフィナーレを迎えるようだ。暑いばかり、疲れるばかり(タイム計測するのに駆り出されたり、雑用させられたり。小倉さんの命令)で面白いものではなかったが、授業の一環だし仕方がなかろう。

「そうだな、旦那は石川さんを押し倒して密着してたしな。暑い暑い」

「思い出させるんじゃねえ!」

 せっかく忘れようとしている過去の過ちを、わざわざ復元させるな!


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