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第八十一話 囁き

ええじゃないかそのに、十万アクセス突破です。八十話を超えてようやく……ですので遅い(人気はない=大して面白くない)のでしょうが、それでも読んでくださっている読者さんに最大級の感謝を。本当にありがとうございます。何かできることがあればできる限り応えたいので、ご意見待ってます。

「辰美、二人三脚でるよね?三井君と一緒に」

「え!?だってなおくん出たくないって言ってたし……」

「私は辰美の意見を聞いてるんだけどな?」

「…………」

「文化祭の時の様子だと、後輩の子……古木ちゃんとかなり仲良さそうだったよね、三井君」

「…………」

「やけに親密そうだったし……あのまま付き合うことになっちゃうかなあ?このままだと」

「…………」

「でも辰美、三井君に助けられて惚れ直しちゃったんじゃないの?ん?」

「……!」

「もしこの競技に一緒に出たら、心も体も三井君に近づけるんじゃない?」

「……物理的には近づくけどね」

「いい思い出にもなると思うな。青春の一ページ

「沈黙は肯定と受け取ってもいいのかな?それでどうする?出たいの?出たくないの?」

「……出る」

「んー?声が小さいなあ。聞こえなーい」

「出たいです!二人三脚、なおくんと一緒に出たいです!」

「一名様ごあんなーい!センセー!辰美、参加承諾したよ!」

「上々です」



「さて、三井。退路は断たれました。あとは出場する以外に道は残されておりません」

「急に持病の喘息が……」

「諦めが悪いぞ、旦那」

「それにねー?石川さんの勇気を台無しにするのはよくないと思うよー?」

「勇気?……ああ、男子と参加することで注目を浴びるのは確定だからな……それでも健三さんのために出場するとは見上げた度胸だ」

「うわ……こいつマジで言ってるよ……」

「……義人、引きすぎだろ。俺が一体何をした」

「まあいい。旦那には不参加と言う選択肢はない。出場しろ。面白くなりそうだし」

「明らかに最後のが本音だよな!?」

「その通りだ」

「堂々と言いやがって!」

「人ごとだし」

「どうでもいいけどー、もうすぐ参加者の集合始まるよー」

「いけ!三井」

「……タツミ呼んでくる」

 この後、陰口とか大いにたたかれることになるんだろうな……。



「タツミ、二人三脚いくぞ」

「……参加してくれるんだね?」

「怖気づいたか?なら不参加にするか」

「後ろ向きなのもほどほどにね……そんなに参加したくない?」

「タツミが嫌なら、いつでも出場を取りやめる準備はできてる」

「……参加はしたいんだけど……」

「それならそれでいい。出るぞ」

 そう言ってタツミの手首をつかみ、連れて行こうとすると、近くにいたクラスメイト(女子)から黄色い声が上がった。

「きゃー、三井君だいたーん」

「愛の逃避行!?そのままどこか別の場所に行ってもいいよ?」

「ちょ、みんな!?」

「やかましい黙ってくださいお願いします」

 くっ、参加する前からこんないじめを受けることになろうとは。くじけそうだぜ。

「三井は女子相手には弱いな」

 うるさい。俺はジェントルマンなんだ。

「紳士はやかましいとか言わねえよ」

「タツミ、いいから行くぞ……練習とかしてないけど、大丈夫だよな?」

「……うん、頑張る」

「愛の力で頑張るってか、ハハハ。ふざけんじゃねえ三井!!」

「清水、勝手に妄想して切れてんじゃねえよ!」

「あああ愛の力!?」

「タツミも過剰反応すんな!」

 ……こんなんで完走できるのか?


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