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第七十八話 正直

 校長の長話が大半を占めた開会式も終わり、第一種目の長縄に入った。一年→二年→三年の順に行われるため、俺たちが最初に競技をすることになる。全学年中、三分間で連続して多く飛べたクラスの順に高得点となる。他のクラスが何回くらい飛ぶのかはわからないが、ベストを尽くすことしかできない(妨害は反則。妨害をありにするか、生徒会では真剣に議論したらしい……が、「教育上まずいだろ、弱肉強食の世界にしたら」という数人の良識ある教師の反対により挫折した)ため、ガチンコ勝負である。

「いよし!気合入れてくぞ!!」

 怪我はしても気合いは衰えない清水。立派だ。本番になると段違いに存在感が出てくるな。怪我人がでしゃばってどうするという意見もあるが。

「兼子、夏目!縄を回すときは大きく、できる限り飛びやすくしろ!」

「「了解だ、死傷!」」

 なんか漢字違う!傷は負ってるけど、そこは師匠にしといてやれよ!

「死に物狂いでやれよ!長縄の後、お前らの腕が壊れてもいい!俺が許可する!」

 いらないよそんな自虐的許可!

「「了解、マスター!」」

 そこは了解するなよ!?

「途中で回せなくなったら俺が代わりに回してやる!」

 だからお前は怪我人だろうが!ってかお前の怪我で夏目にお鉢が回ってきたんだからな!?そこんとこ理解してるか!?

「……そんなこともあったな。てへ?」

 気持ちが悪い!忘却の彼方へと消え去っていた事実もさることながら、筋肉質の大の男が「てへ?」とか言うな!あまりの気持ちの悪さに血の気が引いたわ!

「競技本番一分前です!一年は所定の位置へ集まってください」

 馬鹿言いあってる間にもう本番か。

「いいか、一つ約束しろ」

 清水がマジ顔になった。全力で勝ちに行く態勢に入ったらしい。

「第一声は俺が出す。だが、それに続いてお前ら全員も声をだせ!一致団結こそ長縄勝利の秘訣だ!」

 ……清水がまともなこと言ってる!格好いいぞ清水!

「……それと女子は高く飛べ!」

 ?

「理由は?」

「揺れるから……あ」

 アホ清水!団結しかけたのに女子から大ブーイングが来たじゃねえか!台無しにすんな!

「競技開始です!三分間頑張れ!」

 ……この状況で開始ですかい……。



 しかし、清水に対する変なエネルギーが功を奏したのか、うちのクラスは最高記録を更新する二十三回の記録をたたき出した。全体で十三位(三学年合計二十四クラス中)なのでまあまあだろう。……やってみなくちゃわからんものだな……。

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