第七十一話 悪魔超人
「……弘美さん!?ちょっとそこは……!」
「むふふふ、久しぶりだろう?よいではないかよいではないか」
「久しぶりに会ったその日に、変なところを触らないでください!」
「私と辰美ちゃんの仲だろう?垣根なんぞなくて当然」
「どういう理屈ですか!?酔っ払い過ぎですよ!」
「私は酔ってなどいない。ただ頭の中がふらついているだけのことだ」
「それを世間一般では酔ってるって言うんです!」
「まあまあ、お姉さんの酌をしてくれ、可愛いお嬢さん」
「もう飲み過ぎです。お酒はやめておきましょう?」
「だが断る」
「ダメです」
「抵抗しようと無駄だ。私の戦闘力は六十万を超える」
「フリーザ以上じゃないですか!?全宇宙最強を超えた存在!?」
「おお、よくわかったな。女子でこのネタ(ドラゴンボール)がぱっとわかるのは少ないぞ?」
「え?有名じゃないですか?」
「有名と言えば有名だ……一部の人には。辰美ちゃんは漫画、結構いけるクチ?」
「そうですね……ジャンプ系統は結構読んでますよ。スラムダンクとか、るろうに剣心とか……ワンピースとか」
「あとそうだな、ナルトとかブリーチとかかな?」
「そうですね。単行本は買ってませんけど」
「そりゃあ、読む本全部買ってたら金がいくらあっても足りんし」
「くすっ」
「どうした?」
「いや……なおくんと同じこと言ってるなあと思って」
「姉弟だからな。多少は似ることもあるだろう。とりあえず直樹はボコることに決定したが」
「どうしてそうなるんですか!?」
「なんとなく」
「なんとなくで、なおくんは暴力を奮われるんですか!?」
「しいて言うなら不愉快だったから」
「理不尽でしょう!?」
「んー?直樹のことに必死になるねえ。何かあるのかなあ?」
「…………」
「にまにま」
「……口に出してまでいやらしい擬音を言わないでください」
「どうした辰美ちゃん?声が小さくなったぞ?これは面白そうだ」
「……本音が出てますよ」
「楽しいことにはつい反応してしまってな。それで?直樹のことをどう思ってる?」
「……直球ですね」
「そういう君は慎重だな?ふふふ、心の中を見透かされたくないのはわかるが、私にその手は通じないぞ?」
「どうしてですか?」
「それは……こうするからさ!」
「!?」
「直樹!ちょっちこっち来い!一秒以内」
「物理的に無理だろ!?」
「ブー、時間切れ罰ゲーム質問に答えろ拒否権なし」
「ひどっ!暴虐無人だ!」
「直くん?弘美に今さらそんなことを言っても無駄よ?」
「そうですね……いだっ!?」
「失礼なことしか言えないのかこの口は」
「姉ちゃんだけには言われたくねえ!」
誕生日というのにテスト+バイト(しかも交通の便が悪いとこ)……。なんて誕生日だ(泣)