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第六十八話 建前

「これで文化祭は終了となるが、月曜日には体育祭も残っている。打ち上げは原則禁止となっておるので、騒いで北高に連絡が来るようなことは避けるように」

 生徒指導部長、小倉さんのありがたいご指導を受け、文化祭はひとまず終了。打ち上げは原則禁止だとは言うものの、小倉さんの口ぶりでは打ち上げすることが前提のようだ。そりゃあクラス一丸となって一つのことをやり遂げた後だ。打ち上げくらいしたくなるのが人情というものだろう。もちろんその辺りは先生方も承知で、騒いで苦情が来たときに「打ち上げは禁止となっているのだが、生徒が勝手にやってこちらも困っている」との言い訳に使うために言っているのだろう。先生は先生で打ち上げをやっているくせ(情報源は健三さん。堂々と口にだして「今夜の飲み会は楽しみですねえ」などと宣っていた)、やることがみみっちい。いや、生徒が騒がなければ全くもって問題はないのだが。

「打ち上げは体育祭も終わった後でいいよな?」

「せっかくだから二回行こうぜ!」

「そんなことしたら儲け全部飛ぶだろ」

「儲けが出ただけいいんだから、自分たちで出せばいいんじゃね?」

 こいつら騒ぐ気満々だな。迷惑になるからカラオケでも行って叫ぶだけ叫んでから参加すればいい。そうすれば多少はマシになるだろ。

「今から俺たちはカラオケ行くけど、一緒に行く奴いるかー!?」

 マジで行くらしい。こちとら一日で全精力を使い果たすほど疲れたというのに、元気な奴らだ。……あれが若さか……。

「旦那も年齢同じだろ」

「奴らとは精神年齢が違うんだ」

「そうか、俺たちは大人だもんな!」

「そうだよねー。アダルティーって言うのかなー?」

 誰がお前らを含めとるか。俺の分類によれば、お前らの精神年齢は幼稚園児並みだ。

「ところで旦那は行かんのか?」

「本気で疲れ切ってるんだ。帰って眠らせてくれ」

「残念ながらそうはいかないなー」

「……なんで?」

「三井にはトップとしてー、謝罪に出向いてもらわないとー」

 ぐは。そうだった。脳が忘れようと務めていたらしい。

「旦那、人はそれを現実逃避と呼ぶ」

「大体、まだ謝罪に行く人とかのリストができてないだろ。それは健三さんの仕事のはず……」

「悪あがきはよしなよー。健三さんはその作業すでに終わらせてるからー」

「どれだけ優秀なのあの人!?」

 その優秀さをもっと別の時に発揮してほしかった!

「飲み会に参加するためにちょっと本気を出したみたいだねー。はいリストー」

「予想以上に多い!?これでちょっと本気とかどうなってんだ!?」

「それが健三さんなのだよ、旦那」

 あの人は確実に才能の使い方を誤ってる……!

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