第五十二話 確認
「執事喫茶<KENZO'S BAR>、仕事の最終確認を行う!接客係は執事係ができる限り単独で行うこと。忙しくてどうしても回らないようなら、メールを回せ。空いてる奴が駆け付けるから。ミスがあったらすぐに謝る。お客様には誠心誠意をこめた対応をすること!最悪クレームが発生した時には、執事長で在らせられる三井を呼べ!全責任を被ってくれる」
嫌な役回りだ。しかし誰かがやらんといかんのだ。黙って犠牲者になろう。ついてない。
「調理班はオーダーの順番を確実に。メニュー作成で混雑の仕方も変わってくる……んだよな、杉田?」
「ああ、その辺はしっかり叩き込んだから気にしなくていい」
それで調理班の連中も、この一週間忙しそうだったのか。義人は料理のことには厳しいし、大変だっただろう。お疲れさん。……いや、忙しいのはこれからか。
「石井筆頭の宣伝係は、大道具係が作成したプチ看板を持って校内を練り歩いて来い。人を呼び込めるなら方法は問わん」
「本当にー?」
「……合法的なので頼む」
「了解ー」
どうして当然なことをわざわざ確認しているんだろうか。そして弱冠石井が残念そうなのが気になる。何考えてたんだあいつは。
「シフトは以前作成してもらったのを最終とする。仕事開始の十分前には来て、着替えておくこと。時間を間違えるな。もしすっぽかしたりしたら、石井による世にも恐ろしい制裁が下されることとなる」
「僕はすっぽかしてくれても構わないよー」
機嫌が直る石井。だから何を考えてるんだお前。何やらせるつもりだ。しかしこの脅しは相当効いたようで、皆の表情が引き締まる。きっとこれで、誰も時間を間違えることはないだろう。結果オーライ。
「よし、これで事前確認は終了だ。健闘を祈る」
開店まであと少しと迫り、執事係のメンバーは緊張をほぐすためにも談笑していた。
「なおくんと私って休憩時間バラバラだね」
「そうだな。俺がいない時の仕事は任せたぞ」
「わかった。でも残念だなあ。なおくんと文化祭回ったりしたかったのに」
「いや、恥ずかしいから」
文化祭で二人でいるところを知り合いにでも見られてみろ。どんな根も葉もないうわさが立つことやら。そんなことになったら俺は不登校にならないでいられる自信がない。
「旦那、そんなこと言うなよ」
「そうだよー。別に噂なんて立たないってー」
うわー、こいつらが言っても全く説得力ねえー。大体執事係に交じって来るなよ。二人とも係のトップなのに。
「でも旦那は一人で回るのか?」
「さみしくないー?」
大きなお世話だ。
「まあ司書室でゆっくりさせてもらうかな」
「ダメだよー、そんなのー」
「そうそう。俺たちに任せておけ。いいことしてやるから」
「いいこと?」
「ああ、休憩を楽しみにしとけ」
開始前に不安を増やさないでほしいものだ。
以前書いた美容師ですが、メイクとかする美容師さんもいるそうです(読者さんがメッセージで教えてくれました)。……偶然ってあるんですね。
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