第四十五話 電源
「旦那たちは真面目すぎだな。もっと小物の店とか回った方が、安くて意外な掘り出し物とか見つかるかもしれんのに」
「確かにー。洋服の青○とかで文化祭用の蝶ネクタイを探すのはおかしいよねー」
「教えてあげたらどうなんですか?」
「そんなことしたら楽しむ時間が減るだろうが!」
「減っていいじゃないですか」
「携帯の電源切っておいたらー?誰かから下手に掛かってきたら厄介だよー」
「そうだな。追跡途中で掛かってきて見失ったら目も当てられん。電源は切っておこう」
「友達なら力を貸してあげましょうよ」
「保護者ちゃん、間違えるな。親友だ」
「親友なら力を貸してあげましょうよ」
「親友だからこそ成長を見守ってやりたいんだよ。<ひとりでできるもん>みたいな?」
「訂正を求められた意味がわかりません」
「気分」
「……一人じゃないですよね」
「<ふたりでできるもん>みたいな?」
「どうでもいいです」
「二人ともー。三件目を出てきたところでお手上げ状態になったみたいだよー」
「はや!」
「いくら田舎都市だからといって服飾店三件で打ち止めは少ないでしょう。先輩ってもしかして店とか同じところでばっかり買う人ですか?」
「もしかしなくても旦那はそうだな。趣味以外のことに関しては興味を持たないし、淡泊」
「古木さんが三井に教えてあげなよー」
「おおそれだ!旦那は保護者ちゃんに感謝。その感謝の気持ちはやがて愛へ……」
「……(///)」
「保護者ちゃん、そこは「ありえませんよ」みたく突っ込んでくれ……なに満更でもなさそうな顔してるんだよ」
「……冗談だったんですか」
「結構恥ずかしいよー」
「自覚してるんだから言わないでください」
「旦那が電話してるな。誰かに相談でもするつもりか」
「杉田にじゃないー?」
「まさか、このタイミングでそれはないだろ」
「「HAHAHA」」
「二人揃ってアメリカンな笑い方しないでください」
「おやおや?二人が移動を始めましたよ?」
「変なナレーション入れないでください」
「さて、後をつけようか」
「ストーカーみだいだねー」
「ふへへへへへ」
「石井先輩、この方角は……」
「あそこに行くのかもねー」
「二人とも!おいてかないで!ツッコミ放棄で放置するのはさみしすぎる!周りの視線も痛いし!」
「杉田先輩でも周りの視線を気にするんですね」
「そこに感心するならツッコミを入れようぜ!」
「きゃーだれかー。ここに変態がいますー」
「気持ちこもってねえ!適当にやられて余計に傷ついた!」
「だったら黙ってつけますよ」
「……はい」
「ではー、れっつらごー」
「石井は悩みなさそうでいいな……」