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第二十九話 原石

「三井は執事長なんだから、そのぼさぼさの頭と身だしなみを何とかしろよ」

 いつの間にか執事代表から執事長にランク上げされたらしい。嬉しくねえ。

「そんなこと言ったってな……くせ毛だし、水泳部だからセットとかしたところですぐに無駄になるから」

「でも他のクラスの水泳部員は普通だよな」

「田村とか片山とか」

「松田もそうだよな」

「俺、髪型は自然に任せたままにしておくことが普通だと思うんだ」

「その認識は明らかにおかしいだろ」

「そんなことないよな、旦那」

「そうだよー。みんなの方がおかしいよー」

「髪型なんかわざわざセットする必要なんかないよな」

 さすが心の友だ。これでこの話題は終わりにしてしまおう。

「それは間違ってるよ!」

「タツミ?」

「そう!石川さんよく言った!」

「三井君も杉田君も石井君も、自分の容姿に無頓着すぎ!」

「三人とももとがいいんだから、もっと外見に気を配ろうよ!」

 わらわらと女子が湧いてきた。いきなりどうしたんですかあなた方は。

「この中に!この中に美容師志望の方はおられませんか!?」

 なんだこの小芝居。

「あの……私でよろしければ……」

 続いた!

「おお、あなたは美容師志望で外国に修行に行きたいと思っている佐伯さんではあーりませんか!」

 説明ありがとう。そして「あーりませんか」ってなんだ。古いわ。

「私の野望は埋もれた原石を発掘し、輝かせることです」

 じり、と俺たちの方に近づいてくる佐伯さん。目が血走っているように見えるのは気のせいだろうか。

「だからこそ、入学時からこの漫才師三人が埋もれた原石にしか見えず、気になっていたのです」

 さらに距離を詰める佐伯さん。逃げようにもクラスのみんなが退路を断っているため、逃げることができない。素晴らしい団結力。このチームワークをもっと別のことに向けてほしいと切実に思う。

「今回、この三人を変える機会を設けて頂き、皆さんには本当に感謝しています」

「ストップ!変える機会なんてどこにもない!俺たちは別の仕事がある気がするから帰らせてくれ!ほら!義人も石井もなんとか言ってくれ!」

「……旦那、人に嫌なことをしたら、それは返ってくるって言葉なかったっけか」

「因果応報?」

「まさにそれだ」

「俺悪いことなんかしてねえ!」

「まあまあ一蓮托生だよー」

「お前らの都合に付き合わせるな!」

「総員!かかれーっ!!」

「「「わあああああ」」」

 ぎゃああああああ!!


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