第二十七話 係
「大道具係代表、清水!」
「看板から内装の飾りまで、作るものは俺たち大道具係に任せておけ。無理なものもあるだろうが、全力を尽くすことを約束する」
「料理係代表、杉田!」
「模擬店だからと言って手を抜くのは簡単だ。しかし、妥協しても面白くない。旨いものを安く提供する、この信念を持って行動しよう」
「宣伝係代表、石井!」
「この学校にうちの喫茶店を知らないのは当たり前でー、北高祭に来校したすべての人に知ってもらえることを目標とするよー」
「提供兼サービス係代表、三井!」
「異議あり!」
「各部門の代表者の発表は以上です。それぞれ係が何になったかはプリントに印刷してきたので確認してください」
「俺の意志は!?」
「拒否権は存在しません」
「横暴な!?」
それはないだろ!?最近夏目を筆頭に、俺の扱いが酷くなってる。確実に。
「せめて意見くらいは言わせてくれよ!」
「なぜ?」
そんな理解できないみたいな反応されても。
「なおくん、いやなの?」
「ほら!俺の意見を聞きたい人がいたじゃないか!議長、再度発言を求める!」
タツミは少なくとも俺の味方か。感謝の意志をこめて、笑顔でタツミを見ていたら顔を赤くして顔を伏せられた。……そんなにおかしいか、俺が笑うのが。
「……ちっ、どうぞ」
「今あからさまに舌打ちしたよこの議長!」
「それが発言の内容ですか」
「流れからして違うってわかるだろ!?何この「早く終わらせろよ」みたいな空気!?」
「早く発言を終わらせろよカス」
「もっと酷かったよ!」
恐ろしいクラスだ。
「サービス係兼提供って、要はウエイターだろ?」
「そうだ」
「俺の希望部門は、大道具か料理のどちらかにしたはずだが」
この前のアンケートで、希望を取ったのは何だったんだ。代表以前の問題だろ。
「アンケートの結果だ」
「どういうことだよ」
「ウエイター―――執事をやらせたい人間も同時にアンケートを取ったから」
それは確かにそうだったけど。
「でも本人の意志優先だろ!?」
「お客様のためだ、譲歩しろ」
「アンケート取ったのは客からじゃないだろ!?」
「来店するのは同年代の女子がほとんどだと思われる。その女子からあれだけ票をもらってるんだから選出は妥当だっていうか大量に票をもらって調子に乗ってんじゃねえのか水虫にでもなればいいのに」
「後半から怨嗟の言葉になってますけど!?」
しかし俺に票をよこすとは。このクラスはどれほど俺のことが嫌いなんだ。
「全身吹き出物だらけになればいいのに」
「悪化した!?」