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第二十一話 自業

「では次の議題、体育祭の選手決めを始めます」

「司会進行は僕とー、石川さんとー、引き続き三井がやるよー」

 ……この理不尽を許すこのクラスはどうかしてるんじゃなかろうか。……どうかしてる奴らの集まりか、ここは。

「山本先生。種目の説明をお願いします」

「面倒ですね、プリントがそこにあるから適当に進めてください」

「……わかりました」

 タツミが健三さんの洗礼を受けている。そうして人は大人になっていくのだよ。

「えーっと……種目は男子900メートルリレーに女子600メートルリレー、スウェーデンリレーと障害物競走、トライアスロン、二人三脚競争、ムカデ競走、全員参加の大縄跳びと応援合戦ですね」

「それでは前に出てきてー、やりたい種目に名前を書いていってねー」

 ガヤガヤと相談しながら種目を決めていくクラスメイト達。しかし、選んだ種目にどうしても納得できない人物が一人いたので呼びとめる。

「……浜ちゃん?君がどうしてトライアスロンに参加しないのかな?」

 泳ぐのがこの学校で一番速い浜ちゃんなら、トライアスロンはかなり有利だろう。走るのも決して遅い部類ではないし。

「疲れるから当然嫌に決まっているだろう」

「嫌なことをやるのは君だけじゃないんだ。つべこべ言わずにトライアスロンに参加しろや、な?」

「みっちゃん、目が笑ってないぞ」

「笑うつもりもないからな、浜ちゃんトライアスロン確定っと」

「理不尽な!」

「その理不尽さに最初に泣かされたのは俺だということを理解しておけ」

 俺だけ不幸だなんて許せん。クラスメイト全員で不幸を分かち合うべきだ。

「……では、各自この種目で登録、ということでよろしいですか?」

「「「いいでーす!」」」

 どこの小学生だお前ら。……ん?待てよ?

「俺書いてない気がするんだが」

「問題ない。旦那はもう決まってる」

「……何度も言うが、俺書いてない気がするんだが」

「三井は二人三脚だよー」

「勝手に決めるなよ!?」

「相手が見つからなかったから、余ってた旦那は自動的に移動した」

「相談しろよ!相手はどこのどいつだ!?」

「……よろしくな、三井……」

 清水かよ!

「当然の如く女子と組もうとしてことごとく失敗、男子運動部集団はリレーに流れて相方が見つからず、清水孤立。しかし人数を数えた結果足りない人物がいることがわかり、旦那と判明。旦那ならそこそこ足も速いから、清水のパワーも受けきれるだろうと判断」

「清水君のを三井君が受ける!?」

 やけに興奮した女子の声が響く。意味を取り違えるなよ腐女子!

「なんやかんやで現在に至る」

「貧乏くじだな俺!」

「みっちゃん、理不尽でもやれよ」

 ここでさっき言った言葉が致命的になるとはな!

 ……口は災いのもとって本当だったのか……。

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