第十九話 議論
「……何か意見はあるか……」
「三井ー!やる気出せよ!辛気臭いぞ!」
やかましい。全国不幸ランキングがあったら上位入賞確定の俺に、追い打ちをかけるな。
「はいはーい!」
「菅原さん、どうぞ」
「執事喫茶で!」
「何か意見はあるか?」
「旦那、何も聞かなかったことにするには少々無理がある」
「執事喫茶というのは、男子と格好いい女子が執事となって、各自でサービスをする喫茶店です!」
誰も求めてないのに説明してるよあの人!
「いい!」
「賛成!」
「むしろ決定で!」
……求めてる人いたよ。賛同してるし……。
「この案はどうですか健三さん?」
義人、いちいち健三さんに確認取らんといかんのか?
「…………zzz」
あれだけ煽っておいて健三さん寝てるよ!!駄目だこの人!
「……朝ですか?」
もう夕方だよ!曲がりなりにも授業中なんだから寝ないでください!
「執事喫茶?……別にいいんじゃないですか?どうでも」
起きたばかりでローテンションだ――!!やる気ねえ―――!!
「健三さんの目が覚めるまで、色々な意見を出し合おうじゃないか」
「「「異議なし」」」
この状態の方がいつも通りではないかと思うのは俺だけなのか?
「まあいい。他に意見のある奴いるか?」
「アーケード風にしたらどうだ?」
小規模なゲームをいくつかやるのか。定番と言えば定番だな。
「具体的にはどんなゲームがある?」
「的当てなんかどうだ?」
「ふむ。しかし在り来たり過ぎはしないか?」
「いや、特別の的当てなんだ」
ほう。
「球が野球の硬球」
「危険すぎるわ!!」
「さらに的は三井」
「鬼畜すぎるわ!!俺に何か恨みでもあんのか!?」
「腹部は五点。顔は十点。金的は九十点」
「鬼!悪魔!外道!却下だ却下!!!」
俺の命がいくつあっても足りんわ!
「そこまでして俺を追い詰めようとする理由は何だ!?」
「いや、清水が「三井は可愛い後輩を弄ぶだけでは飽き足らず、幼なじみの転入生まで手玉に取ろうとしている。ハーレム帝国を築こうとする悪の親玉だ」と聞いたから。違うのか?」
「根も葉もないデマだ!清水ちょっとこっちこいや!!」
手玉に取ってなんかねえし!むしろ弄ばれとるわ!
「魔が差してやった。反省するつもりはない」
「清々しいほどに最低だなお前!」
「嫉妬しちゃいかんのか!?」
「キレるな!俺はそういう関係の女子などおらん!今まで一度も!」
「俺だっていたことねえよ!」
……不毛な言い争いになってしまった。
「旦那、次いっていいか?」
「……この状況で冷静なお前に脱帽したよ」