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第十八話 道連

「さーて皆さん、面白い案を考えてきましたか?」

 自由すぎるぜ健三さん。やる気のあるのはいいことだが、授業にもそれくらいの熱意を示してくれ。

「この時間では、文化祭及び体育祭実行委員を決めるとともに、文化祭の出し物を決めてもらいます。司会は夏目、お願いします」

 健三さんはそう言って、椅子に腰かけた。この時間のために朝から力を蓄えていたのではないだろうな?いつになくテンションが高い。ローテンションかつ無気力状態がデフォルトの健三さんにとって、珍しい状態だと言えるだろう。

「えー、では実行委員をやりたいという殊勝な心がけの人はいるか?いないな」

 自己完結しちゃったよ!まあこのご時世にわざわざ面倒くさいことをやろうなんて人いるわけないか。

「皆さんやる気がありませんねえ。そんなんじゃ立派な大人になれませんよ?」

 あんたが言うな!

「先生は手伝ってくれるんですか?」

「まさか」

 即答!?

「面倒なことを進んでやる馬鹿がどこにいますか」

 先ほどのあなたご自身の言葉を覚えてますか!?

「ならどうしてそんなにハイテンションなんですか?」

「この学校では自主性を重んじるという建前のおかげで、文化祭、体育祭の期間は教師の仕事が極端に少ないんですよ!」

 本音を堂々と言えるのは立派ですが、その態度はどうかと。

「まあ授業をするのは趣味なんで別にいいんですが、職員会議とかがこの時期は楽なんですよね。校長がいないことが多いですし」

 あいさつ回りに言ってるらしいからな。「ぜひ北高祭に来てください」っていう。

「おまけに生徒が私のために楽しませようと必死になってくれる。完璧じゃないですか」

 断じてあなたのためではない。

「それで、実行委員になりたい人、いないか?くじになるぞ」

 それで当たったりするのは嫌だな。誰かいないか、誰か。

「よし、俺たちがやる」

「やりますー」

 義人に石井?わざわざ立候補するとは……まあ義人は祭り好きだし、石井もイベント好きそうだし順当と言えば順当か。

「二人とも文化祭の実行委員か?」

「いや、俺と旦那が文化祭。イッシーは体育祭」

「って俺も含まれてるのかよ!?」

「あとは体育祭実行委員が一人だな」

「おい夏目!本人が否定してるのにやらせようとはどういうことだ!?」

「はいはい、あとでチロルチョコおごってやるから」

「わーいありがとう……じゃねえよ!安いよ!俺の価値低すぎ!暴落しとる!」

「それで、本当に誰かやる人おらん?なんなら三井もつけるけど」

「おまけ扱い!?文化祭兼体育祭実行委員って重労働すぎるだろ!?」

「なら私やろうかな……」

「はい決定」

「タツミ!?お前は俺を手伝わせようなんて思ってないよな!?」

「よろしくね、なおくんに石井君」

「終わった――――!!!」

 何これ!?なんて罰ゲーム!?労働基準法違反じゃね!?

「それじゃ、あと司会頼んだぞ、二人とも」

「夏目のバーカ!バーカ!」

「旦那、悲しさの余り幼児退行化しとるぞ」

 したくもなるわい!!

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