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第百三話 答

「……悪いが、現時点で俺は誰とも付き合う気はない」

 その言葉を発した途端、二人が目を伏せたのがわかった。しかしそれには構わず、言葉を続ける。

「理由があってな……女子と付き合うとか、そういう関係を持つことが怖いんだ」

 それは小学校の時に生まれたトラウマ。いつかこれが癒されるのかも、ずっと女子に怯えを持ったままであるのかもわからない。

「……なおくん、その理由は……?」

「すまんが、言えん。これは誰にも言ってないことだから、聞いても無駄だ」

「杉田先輩にも、ですか?」

「……義人にも、だ」

 義人になんて絶対に言うわけにはいかない。これは墓場まで持って行く秘密だ。

「……まあ、そういうわけで俺は誰とも付き合うことができないんだ。お前らの気持ちは嬉しいんだが……応えられない。本当にすまん」

 俺の数少ない(というか実質二人のみ)女子の友達をこんなことで失うんだな……と寂しい思いに囚われていると、保護者がおもむろに口を開いた。

「……先輩、先輩には確か彼女がいた経験はないんですよね……?」

「ああ。告白されたのだってこれが初めてだ」

「……それでもって、私たちを嫌いだとか、他に好きな人がいるとかでふったわけじゃないんですよね?」

「ああ。むしろ好きな女子を三人選べと言われたら、確実にお前らは入るな。それだけお前らは……タツミと保護者は俺にとって大事なんだ」

 ……む?保護者の目がいきいきとし始めたように見えるのは俺の目の錯覚か?

「それなら……」

「ん?」

「私が諦める必要なんてないじゃないですか!」

 ……はい?

「いや……だってだな……?俺がこれから女子を苦手としなくなる保証なんてないんだぞ?他に好きな人を見つけた方が……幸せになれる」

「そうですね。石川先輩はそうしたほうがいいですよ。その方が賢い選択です」

「……え?」

「保護者は!?」

「私が先輩以外を好きになるなんてありえません。今の私のポジションにいれば、先輩の事情が解消された時、彼女になれる可能性が一番高いんですから、このまま……もしくはこれ以上の存在になってみせます!」

「お前馬鹿だろ!?保証なんてないぞ!?」

 俺のトラウマが消えるかなんて……本人でさえわからないんだから。

「馬鹿でいいんです!先輩を好きになった時点で十分馬鹿だと承知してますから!」

 それを本人の前で言うのは、どうかと思うけどな!

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