第百一話 乱入
「ちょっと待ったあ―――!!」
「うお!?」
バン!と大きな音を立ててドアが開いた。何!?何が起きた!?
「ってお前保護者じゃねえか!なぜ今、ここにいる!?」
「ある情報筋から、先輩の今の状況を聞いて飛んできたんです!」
ドアの向こうを見渡しても、あの二人(ほぼ100%、その情報筋)の姿は見えない。……ああ、確かにあいつらは盗撮も盗聴もしてないな。……余計な爆弾を投下しただけで。
「……いしかわせんぱい?」
「な、何かな古木さん?」
保護者から妙に大きなオーラが発せられているように見えるのは気のせいか。……気のせいじゃないな……。
「なーに先に告白してるんですかあ?」
「あ、あのね、落ち着こう?古木さん?」
「こーんなに落ち着いてるのに、どうしてそんなこと聞くんですかあ?それに……」
「そ、それに?」
「私が落ち着かなくなるようなことをした覚えでもあるんですかあ!?」
「ひい!?」
明らかに切れてるじゃないか。タツミが怯えてるぞ、保護者。
「どうして保護者が怒ってるんだ?タツミが……その……俺に……こ、告白したくらいで」
「動揺しまくってるじゃないですか!告白されて!」
「だからそれがなぜお前に関係がある!?」
「先輩のことが好きだからです!」
…………。
「……あ……」
「…………」
「……ああ――――――っ!!!?」
保護者の悲鳴が部室中に響き渡った。……ドア閉めておいてよかったなあ……。
「い、今のなしです!ノーカン!ノーカウントです!」
「……マジで?」
「マジですけど!マジですけど忘れてください!計画があ!?」
「計画ってなんだ」
「先輩メロメロ大作戦……少しづつ私の虜にしていく作戦……って何言わせるんですか!」
「……わかった。これは夢だな。この俺がこの二人から告白されるなんて……あり得ないよな……。ハハ、今までそんなそぶり全く見せなかったし」
ドス。
「……ぐお……何しやがる……」
みぞおちは反則だろ……。
「痛いですか?」
「痛いわ!……ということは……?」
「……うん……」
「夢じゃないのかよ!?」
「そうですよ!」
「今ので余計忘れられなくなったわけだが」
「しまったあ!?」
「……本気なのか?」
俺にいいところなんぞほとんどないんだが。
「……はい」
数秒悩んだ結果、覚悟を決めたのか保護者も頷いた。
「私は先輩が……す、好きです。か……彼女にしてください!」