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ドライブと…

作者: 神名代洸
掲載日:2016/03/27

ドライブが好きな僕は毎日どこかを走っていた。

今日は21号線あたりを走っていた。

天気はあいにくの曇り空。

とは言ってももう夕方。徐々に暗くなりつつあった。

「はぁ〜、そろそろライトつけないといけないかなぁ。」ひとりごとである。


このくらいの時間の空模様が一番好きだった。昼間は眩しくてサングラスが無いと目が開けていられなかったからだ。

途中休憩を挟もうと車を路肩につけた。

その時「コンコン。」と窓ガラスを叩く音が聞こえた。音がした方を振り向くと二十代半ばの女性が立っていた。


「どうかされましたか?」僕はそう問いかけた。すると「すみませんがちょっと車に乗せていただけませんか?」と言う。

「すみません。タクシーじゃないんで。」

僕はそう答えたが女性はかまわず乗り込んできた。

「あの〜、降りてもらえませんか?」

「…。」

女性は黙ったままうつむいていた。

手には白い箱を持っていた。

もしかしたら遺骨?と思った僕は気になって聞いてみた。

「そうなんです。今からお墓まで行くところなんですよ。」

ボソボソとそう呟いた。

その応対も気になった。

暗い…と言う印象しかなかった。

まるで全て終わってしまったかのように…。

薄気味悪いと正直思った。が、乗ってしまっている以上降りてくれなければ目的地まで連れて行くしかない。

車をゆっくりと走らせ始めた。


目的地までは車でも30分程。

そこそこ遠い。

近くまでは行ったが、早く離れたかった為なんとか降りてもらおうと後ろを振り向くと誰もいなかった。そこにいた証拠に座席はべったりと濡れていた。

「うわっ、やっぱり幽霊だったか?」

僕は以前も体験があった為、ある程度は冷静になることができたが、それでもやっぱり怖くて手が震えた。


辺りは真っ暗になっていた。

このお墓は人里離れている為誰もいない。僕一人だ。ガサガサガサと木の葉が揺れる小さな音にも敏感に反応してしまう。


その時突然エンジンが止まった。

止めた覚えはなかった。

何度もなんどもエンジンをかけてみようとするがなかなかかからない。

「なんでかかんないんだよ。かかれ。」

そうはいっても回復してくれる気配はない。

仕方がないのでレッカー車を呼ぼうとしたが電話が圏外となり繋がらない。

正直ヤバいと思った。


その時遠くに人の姿を見た。

真っ白な服装をして右手に何かを持っていた。早足で近づいてくるそれに僕は車から出て走ろうとしたがドアが開かない。ドアノブがガチャガチャと音を立てる。

「開けよ。…なんで開かないんだよ。」途中から涙目になっていた。必死だった。前を見ながらもドアノブの方を見る。

ガチャッとドアが開いた。

僕は慌てて車から飛び降りた。しかし足元を見ると何か人の足らしきものが見える。と、言うことはと前方を見たが誰もいない。じゃあ、今ここにいるのは?

ガタガタと震えだした。思ったのは車から降りなければよかったということ。

それでも降りてしまった為逃げる事に…。

足音がぴったりと付いてくる。


「う、うわ〜!」

逃げながらも転んだり草むらを避けて擦り傷を作ることもあったが気にもならなかった。痛みよりも逃げることしか頭になかった。

どこまでもどこまでも追いかけてくる足音が恐怖を増大する。

「なんで僕のところばかりなんだよ。」半べそをかきながらも一生懸命に走った。

足音はすぐ後ろにピターッと張り付いたように聞こえてくる。気味が悪かった。

ただそう思った。


しかし音はすぐにやんでしまう。

後ろをゆっくりと振り返り誰もついてきていないことを確認するとようやくホッとできた。

そして振り返った時そこにいたのは…。

全身が真っ白な服装で身を包んだ老婆が立っていた。いや、老婆に見えたがどうやら女性らしい。怒りで般若の顔になっていた。

「あ〜〜っ!う〜〜っ!」

言葉になっていない。

それでも恐怖は無くならなかった。手に持っているものに恐怖を感じたからだ。だってそうだろ?斧、持ってたんだぜ!

とにかく逃げ続けた僕はなんとか無事に人通りがある場所まで走ってくることができた。


後で車を取って来るためにタクシーを使ったが、その車に乗る気にはなれず結局手放すことに。もちろんディーラーにも話していない。そんなこと話したら買ってもらえなくなってしまう。


今は新しい車でドライブを楽しんでいる。



後部シートに僅かなシミをつけて…。

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