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桜色に彩られた日々  作者: 彩未
蕾 ーつぼみー
5/13

四話 私の好きなものは、貴方の好きなもの。

「涼ちゃん!」


 とてとて、と幼稚園の廊下を走る。


「純、何してるんだ。危ないぞ」


「大丈夫!」


 ずてっ

 そう返事しながら、私は盛大にこけた。その拍子に、手に持っていたものを落とす。


「あ!」


「大丈夫か、純」


 涼ちゃんがそう言いながら、私が落としたものを拾い上げた。

 それは、桜の花びら。強く握りしめたせいで、形が歪んでしまっている。


「これ、桜!」


 泣きそうになりながら、私は涼ちゃんにそう説明した。


「さくら?」


「ほら、私の家に咲いているやつ!」


「あぁ、あれか」


「うん!お母さんが言ってたでしょ、えっと……」


「人生を彩る花、って?」


「そう!えっとね、桜は見るだけで人の心に彩りを与えてくれるんだって!」


「ああ、確かに綺麗だもんな」


 私のお母さんと私は、家に咲いているからか桜が好きだった。 桜のことを、まだ字も読めない私にたくさん説明してくれた。

 だから、桜のことならたくさん知っている自信がある。


「涼ちゃんも、桜は好き?」


「うーん。普通、かな」


「えええっ!じゃあ、私のことは好き?」


「うん」


「じゃあ、桜も好き!」


「どういうことだよ」


「私の好きなものは、涼ちゃんの好きなもの。好きなものを共有したいと思うのは、ダメ?」


「また春さんの受け売りか」


「いいから!桜のこと、好きになった?」


「そうだな。純も桜も、好きだ!」


 それから、桜は二人の大切な花になった。

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