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桜色に彩られた日々  作者: 彩未
蕾 ーつぼみー
3/13

二話 小野原純の、手紙。

『涼ちゃんに出会ったのは、いつ頃だったっけ。

 多分、私も覚えていない、遠い遠い昔。



 覚えていないほど、涼ちゃんと私は一緒にいた。

 幼稚園で、私が泣いていた時、涼ちゃんはいつも駆けつけて、慰めてくれた。

 私をいじめた男の子たちに、仕返ししにいってくれた。


 涼ちゃんは、私のヒーローなんだよ。

 恥ずかしいから、絶対に言わないけど。

 

 小学校に上がっても、中学生になっても、涼ちゃんが優しいのは変わらなかったよね。


 でも、いつの間にか、優しさの示し方が変わってきたっけ。

 中学生になった頃かな?「お前も中学生になったんだから、自分のことは自分でやれよ、忘れ物しても貸してやらないからな、遅刻しそうになっても待っててやらないからな」、なーんて大人ぶっちゃって。「純は俺が守る!」とか言ってたあの頃の涼ちゃんは、どこに行っちゃったんだろうねぇ。

 でもさ、知ってるんだよ。

 口ではそう言ってても、涼ちゃんの根っこにある優しさは変わらないんだって。

 だって涼ちゃん、何だかんだ言いながら、私が教科書忘れたら貸してくれたじゃん。寝坊しても、待っててくれたじゃん。クラスメイトの前で晒し者にされた時、庇ってくれたじゃん。


 だからさ、涼ちゃん。

 大好きだよ。

 ずっと、一緒にいようね。』





「ああもう、これじゃラブレターだよぉっ!」


 そう叫ぶと、私は書いたばっかりの手紙を放り投げた。

 四月二十日は、涼ちゃんの誕生日。

 プレゼントは、もう用意してある。

 空色の、私とおそろいのセーター。寒がりの涼ちゃんは四月でも着るはず。

 私のセーターは綺麗な桜色。涼ちゃんにもこれにしようかと思ったんだけど、男の子ってこんな色もらっても困るよね。

 ちなみに、去年の九月から頑張って編んだ私の手作り。

 不器用な私にしては、頑張った方だと思わない?


「涼ちゃん、喜んでくれるといいなぁ」


 綺麗にラッピングしたセーターを撫でると、私は新しい便箋を取り出した。

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