妖精の図書館
「そうそう」
「ちょっと名前ダサくない?」
確かにちょっとダサい、でも。
「ダサいけど妖精の図書館ってのはあながち間違ってないんだよ」
「なにそれ。どういうこと?」
「ここで説明すると長くなるからついてから」
後ろでぶつくさ言うアーテナを無視しながら図書館に向けて歩く。
好奇心が人一倍強いアーテナは何か気になることがあるとすぐ質問をしてくる。
だから話題は尽きない。それが良いか悪いかは別の話。
考えながら歩く。歩く。
まだ寒さの残る中で太陽は凛として眩しく輝く。
一陣の風が二人を吹き抜けた先に森が見えはじめた。
「ねえねえまだなの〜もう疲れた〜」
「うるさいなーあそこに見える森にあるから」
「ぶーぶーこんな遠いなんて聞いてないわよ」
聞かれてないしと心の中で思ったものの少し申し訳ない気持ちになった。
「わかったじゃあ帰りに何か美味しい物でも買って帰ろう!」
「本当に? 約束したからね!」
「うん約束」
図書館まではそう遠く無かった。
心地よい涼しさに心を泳がせながら歩いているといつの間にかついた。
「ついたのよね? ここでいいのよね?」
「うん」
後ろで「疲れたー」と声が聞こえる。
確かにやっとついた。数十分は歩いた。
森の中に建つ図書館をアーテナが不機嫌そうに眺める。
「ねえ説明で言ってたこと嘘じゃない!」
「嘘じゃないよほんとだよ!」
「こんなのさっきまでたくさんあった小さなお家サイズじゃない」
おそらく一般住宅のことだろう。
「アーテナここまでの道のりであったのは小さな家じゃないよ……あれは普通サイズ」
アーテナがなぜ道行く家をそんな風に思ったのかはなんとなく察しがつく。
「まあ中に入ろう、そしたらわかるよ」
「むぅ、わかったわよ」
不満げなアーテナは渋々中に入るや否や徐々に驚きの表情に変わった。
「え、ちょっとこれは……なんで?」