表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の人工精霊はちょっとおかしい  作者: 桃板ボイン
11/11

私は茅野月 葵!

 パラパラパラ……パラ……パラパラ……。


 二人は静かに本をめくる。


 この静寂がどのくらい続いただろうか。


 高く積み上げられた本は徐々に低くなり残す本もあと僅かになって来た。


「それらしきものは無いわね」


「うん、こっちも似てるけど違うなあ」


 読み終えた本は「今からできるイマジナリーフレンド」「あなたの分身タルパ」「怖くない空想の友達作り」などなど。


 似てるものこそあれアーテナの核心に迫るものは無かった。


「あーだめかなあ〜見つからないや」


「……ねえ、私ってそんな不思議?」


「不思議さあ! 例えるなら君この図書館と同じ存在だよ?」


 最後の本を読み終えた彼女が本をパタンと閉じ。


「そんなに!?」


「そうだよ!?」


 自覚ないか!


「実感が湧かないわね……」


「……ごめん仕方ないかもね」


 思えば僕だって生まれたことに疑問なんて抱かなかったし、物心ついた時は興味なんて他に向いてた。


「でもさでもさ、だからこそ調べてみるのも楽しいんだよ」


「そ、そう……? でも私は少し怖いわ」


 弱々しくそう言い残した彼女は、ゆっくりと席を立ち別の本を探しに行った。


 席に一人となったリクは本をめくる作業に戻る。


「怖い、か……」


 最後の言葉が不意に心に刺さった。


 本に目を落とし。


「ちょっと悪いことしたかもなあ」


「彼女のこと、気になる?」


「んーまあねー」


「そう、にしても彼女不思議でしょう」


「だよね……!?」


 はっと振り向くリクの目の前には知らない女の子が立っていた。


「!? っ……こんにちは」


 一瞬驚いた彼女はすぐさま平然を装う。


「こ、こんにちは……?」


 幸いにも彼女の油断は彼には伝わらなかった。


 リクは「こんにちは」のところしか聞こえなかっただろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ