私は茅野月 葵!
扉を抜けた先は図書館に来た時と同じであった。
広場があり、そこを囲むように本棚が綺麗に並ぶ。
広場には机もある。
図書館と呼ぶにふさわしい空間であり、部屋と言うには広いがなのだろう部屋だろう。
しかしこの図書館、静かである。
確かに図書館は静かなところだがやはりここは静かである。
言ってしまえば人がいない。
この部屋に彼ら以外の人影は見えない。
見えないが、ひとつの影がそこには潜んでいた。
「今さらなんだけどここは何なの?」
机にいくつか本を重ねたアーテナが素朴な疑問を問いかけた。
「妖精の……」
「名前じゃなくて、ここについては何も説明がないじゃない」
「説明って言われても難しいもん」
リクが本を手に取りながらそうぼやく。
「確かにそうよね、小さな建物に入ったら実は中は煌びやかな空間が広がっていて数多くの本とそれを飾る本棚が綺麗に整列してたなんて」
そこまで聞くとリクは。
「でしょー? 説明が無理なんだよ」
「さらに広場の本棚には目もくれないで扉を抜けるなんて言うんだもん、抜けたらまた空間が広がってるんだもん。ついてけないわよ」
「でしょ?」
「まあいいわ」と話を切り上げたアーテナは両脇に本を抱えた。
二人はいくつか本を両脇に抱え席に着いた。
机の上に積んだ本をパラパラとめくり関連する事項を探す。
「私に関係するってイマジナリーフレンドとか人工精霊ってことよね?」
「そうだよ」
今更だけどアーテナって結構協力的だなあ。