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こんな夢を観た

こんな夢を観た「宇宙人の知り合い」

作者: 夢野彼方
掲載日:2014/11/05

 3丁目のラーメン屋「ポンポン亭」2階には、わたしの古くからの友人が間借りしている。

 実は彼、宇宙人なのだ。


 出会いは幼稚園の頃、同じもも組、隣の席だった。

 男の子なのにやたらと生っ白い顔をしている。それもただ白いのではない。灰色がかって、妙にてかっていた。まるで、プラスチックかナイロンでできた人形のよう。

「あんたってば、なんかちょっと変」わたしは、初対面の相手にずけずけと言った。

「ぼく、変かな、やっぱり」気を悪くするでもなく、ぽりぽりと頭の後ろを掻く。さらによく見れば、頭からニョッキリとアンテナが突き出ている。その先っちょには、ピンポン球のようなものが載っていた。

「うん、変だよ。どう見たって、普通じゃないもん」つくづくわたしは遠慮がない。

 それにしても、どうして誰もおかしいと気がつかないのだろう。これほどあからさまなのに。


「ねえ、ちょっと耳を貸しておくれよ。内緒の話があるんだ」男の子は言い、わたしの耳に手をそっとあてがう。

 子供は「秘密」だとか「冒険」が大好きだ。わたしも、もちろんそうだったので、ワクワクしながら身を寄せる。

「なになに? どんな話?」

 男の子はひそひそと語り始めた。それは、本当にびっくりするような事だった。

「実はぼく、テフロン星からやってきたんだ。銀河系の、ちょうど反対側にあるんだよ」

 生まれて間もなく、両親の都合で星を立ったのだという。だから、故郷の事は写真でしか知らない。テフロン星でつけられた名前は「フニャラ・ツルツン・テッカテカ」とか、そんなだった気がする。

 もちろん、今は地球人で日本国籍を取得しているため、「佐藤太郎」と名乗っていた。


「いいかい、この事はぼくと君だけの秘密だよ。宇宙人だ、なんて知られちゃったら、園が大騒ぎになっちゃうからね」男の子は、口に指を当て、しーっというしぐさをしてみせる。

「うん、わかった。絶対、誰にも言わない」わたしは固く誓った。

 そんなわけで、これまでもずっと人に話さずにきた。

 佐藤太郎は、夜はラーメン屋の手伝い、昼は母校の大学で界面活性剤の研究をしている。

「洗剤ってあるだろ? 水と油がしっかりと馴染むことで、汚れを落としやすくしてるのさ」佐藤太郎が、前にそう話してくれた。「ぼくの研究はね、水と油ではなく、酸素と暗黒物質についてなんだ。それも、馴染ませるんじゃない、反対に分離させる試みなのさ」

 難しいことはわからないけれど、宇宙には暗黒物質が充満しているのだそうだ。酸素と分離することによって、両者の間にはわずかな真空の隙間ができるという。

 要は、それを体に塗れば、例え裸のままでも、宇宙旅行ができるようになるらしい。


「へー、すごいじゃん。宇宙服って、あれ高いんでしょ? 安上がりですむねっ」わたしは感心した。

「まあ、コスト・ダウンもその1つではあるけど。これが完成すれば、月にだって住むことができるんだよ。それこそ、素晴らしいと思わないかい?」

 その瞳は、どこまでも純粋な輝きを放っていた。

「よく、そんなことを考えついたと思うよ。まるで、魔法みたい」

「うん、魔法のようだね、本当に。でもね、これは正真正銘、科学なんだ。パパがテフロン星から取り寄せている科学雑誌『フロム・テフロン』に、そのヒントが書かれていてさ。それが研究のきっかけになったんだ」

 研究は大詰めで、近い将来、実現可能だという。そうなれば、故郷テフロン星を差し置いて、銀河系で最初に技術を確立させた惑星となる。

「生きているうちに完成するかな?」わたしは聞いた。

「きっとできるよ。いや、やってみせるさ。なんてったって、ぼくは地球人なんだ。例え、生まれは違ったとしてもね」


 そんな佐藤太郎の夢は、国際宇宙ステーションの傍らで、ラーメンの屋台を引くことなのだという。

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― 新着の感想 ―
[一言] すてきな佐藤くん! 仕事も研究も愛しているのですね(*^_^*) 頭から伸びるアンテナが「よく見ると」ある、というところがいかにも夢らしくて楽しいと思いました。 こんな技術が本当にあった…
[良い点] 最初タイトルを見たときにグレイタイプを想像し覚悟しましたが。ウル○ラマン系を想像でき何とかなりました。 宇宙ステーションで引くラーメン屋台、最新とレトロが入り混じる素晴らしい夢ですね。
2014/11/05 04:03 退会済み
管理
[一言] 夢のために頑張る宇宙人の佐藤君が、かっこいいですね。
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