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おじゃまんげ!  作者: 夏川 俊
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5、鬼龍会 幹部会議

5、鬼龍会 幹部会議



 視聴覚室に入る。

 ・・おおう・・!

 イカツイ顔や、一癖ありそうなメンツが、勢揃いだ。 女生徒も何人かいるようで、皆、腕に『 風紀 』の腕章を付けている。

 コの字形に並べられた一番奥のテーブルに、マサや龍二、朝倉が座っているが、そのド真中の席が、空席だ。 ・・ソコに、座れってか? 僕、一番隅っこで、いいんだケド・・・

 しかし、もう後には引けない。 僕は、ハラを決めた。

 席に向かうすがらサブを見つけたので、僕は、ポンと肩を叩き、言った。

「 今朝は、ご苦労さんだったな。 センターラインを踏んで走るな。 いいな? 」

「 へ・・ へいっ! 」

 声を掛けられたのが意外だったのか、サブは、緊張して、裏返った声で答えた。

 席に付くと、まず僕は、じろりと皆の顔を見渡した。 まずは、ガン飛ばしだ。 ナメられたり、挙動不信に思われたりしたらまずい。

 僕と目が合った部員は、慌てて目線を反らした。 ・・よし。 ビビッてる、ビビッてる。

 配られている資料に目を通しながら( 緊張して、ナニも呼んでいない )、右側に座っていたマサに話し掛けた。

「 今朝は、手間掛けたな 」

「 ちょいとした肩慣らしに、丁度良かったですよ・・ 楽しかったですね 」

 ・・・楽しかったの? マサくん。 僕、どうなるのかと思ったよ? さすが、吉祥寺の狂犬だ。

 左側にいた、龍二に聞く。

「 龍二。 浜二は、どうだった? 」

「 各自の資料にもありますが・・ 東栄高校と都立第三を傘下に加え、それを手土産に、仙道寺の軍門に下ったようです 」

 龍二の答えに、朝倉が、メガネを掛けなおしながら付け足した。

「 常盤も、正式に連盟話しから離脱したと、通告がありました。 尚、情勢を検討中だった青葉女子は、常盤の傘下となったようです 」

 それを聞いて、風紀局長の芹沢が、朝倉に言った。

「 青葉には、原田がいただろう? ヤツは、アンチ仙道寺だったはずだが? 」

 朝倉が答える。

「 原田 明美は、死んだわ・・・ 」

 驚きの表情で、芹沢は聞いた。

「 えっ? いつ? 」

「 先週の月曜の朝、隅田川に浮いていたわ 」

 言葉が無い様子の芹沢。

「 そんな・・・! 明美とは、中学以来のダチだったのに・・・! 」

 ・・・これは、ホントに高校生の会話か? こんな、おっそろしいトコ、おれん・・・! おしっこ、したくなって来た。

 朝倉が、芹沢に続ける。

「 明和女子の、榊原も消されたらしいわね・・・! 副長の梶田 真澄ってのが、海南の武村と、つながっていたらしいの。 灯台、基暗しね・・! 」

 マサが、朝倉に尋ねた。

「 その情報は、確かか? 」

 朝倉は、隣にいた長い髪の女子部員に耳打ちをした。

( この女生徒は、名簿で見たぞ・・・? 監査役の、二見 理恵って言う、二年生だ )

 彼女は、立ち上がり、隣の普通室へ行くドアを開けると、誰かを手招きした。 幹部以外の数人が、隣の教室で待機しているらしい。 呼ばれて部屋に入って来たのは、他校の制服を来た女子だった。

 二見が、皆に紹介する。

「 明和女子に潜入していた、藤村です。 榊原とも厚意にしていた関係上、消される可能性があったので、今日、呼び戻しました 」

 ・・・あんたら、他校の制服を着て、勝手に出入りしてんの? 凄げえフットワークだね。 スケールが違うわ・・・! 他にも、アッチの視聴覚室には、各校の制服を着たスパイたちが、いっぱい、いるのだろうか?

 藤村が報告をした。

「 正確には、副長の梶田と、渉外の岸本という2年生が、海南とつながっていたようです 」

「 やはり、岸本だったか・・・! 武村と一緒に、繁華街を歩いている姿を、目撃した部員がいたわ。 あの、雌狐め・・! やってくれたわね 」

 芹沢が、口惜しそうに言った。

 藤村が補足した。

「 榊原は、関係に気付きながらも、何とか、梶田を思い留まらせようと画策していたのですが、武村と岸本が、強引な手段に出てしまいまして・・・ 」

「 暗殺か? 」

 龍二が聞く。

「 ・・・はい。 それも、校内で・・・! この事は、学校関係者が揉み消していまして、外部には漏れていません。 榊原は、本棟校舎北側の非常階段の踊り場で、全身24ヶ所を刺され、外出血性ショック死です 」

 あの~・・・ 僕、帰っていい? 聞かなかったコトにしたいんだけど・・・ 4代目 新会頭はマサ君、てコトで、どう? 龍二君でも、いいよ。ね? どう? ・・こんな、中国マフィアか、米国の麻薬シンジケート真っ青な話しには、ついていけん!

 数人の部員が興奮し、立ち上がりながら僕に言った。

「 会頭っ! 仙道寺に、殴り込みを掛けましょうッ 」

「 先手必勝です! 待っていたら、端から消されて行きますよっ・・! 」

 興奮するな、君ら。 その前に、僕が、この場から逃げ出したい。

 マサが動じず、言った。

「 鬼龍会は、自衛組織だ。 その活動趣旨の全うは、姉御の意志でもある・・・ 」

 カッコいいね、星野って。 でも僕、すっごい、不安なんスけど・・・?

 朝倉が言った。

「 今のところ、ウチに対して友好的なのは、近隣の桜ヶ丘高校と因幡大学付属女子、陽南高校、多岐学園の4校・・・ この、4校の安全を保障してあげないと、海南か常盤の傘下に取り込まれてしまうわ 」

 多岐学園と言えば、かすみの通っている学校だ。 この、武蔵野明陵と並ぶ名門で、女子高である。

 龍二が補足した。

「 桜ヶ丘と陽南には、桜陽連盟がある。 だが、因幡付属と多岐学園は、名門の女子高だ。 不良集団も、自衛組織も無い。 狙われるとすれば、この辺りだな 」

 二見が進言する。

「 因幡も多岐も、定期的に探りを入れております。 今のところは、不穏な動きは無いかと・・・ 」

 朝倉が、二見に指示をした。

「 非常事態です、理恵。 定期ではなく、常時にしておくように。 いいわね? 」

「 承知いたしました・・! 」

 う~ん、カッコいいね、君たち。 朝倉が情報局の局長で、二見が、現場の専任主任みたいだ。 女にしておくのは、もったいない。 僕と、代わらない?

 その時、ドアが開き、男子部員が部屋に入って来て、芹沢に耳打ちした。 芹沢は、一瞬、驚きの表情を見せると、僕に向かって言った。

「 会頭。 局員が、本校付近をうろついていた不審者を捕縛したようです・・! 」

 勝手に、とっ捕まえるなよ、君ら。 逮捕権、持ってるの?

 マサは一瞬、僕の方をうかがったが、やがて芹沢に言った。

「 ・・連れて来い 」

 みんな、手荒なコトは、ヤメようね・・・? 特に、マサ君。 ニタリ、ニタリするの、やめようよ・・・ ほら、龍二君も、怖い顔して考え込まないで。 フレンドリーよ、フレンドリー・・・ ねっ? 二見ちゃんも、親のカタキに会ったような、殺意的な表情、いけないよ? 清楚な顔立ちが、台無しじゃないか。 朝倉ちゃん・・ 全く無表情で、何やらメモるのも、人情味が無いよ・・・?

 やがて、両腕を後ろ手に縛られた1人の男子生徒が、芹沢と、もう1人の女生徒に連れられ、皆の前に引き出されて来た。 拘束された男子生徒は、武蔵野の制服を着ている。 特に髪を染めているわけでもなく、いたって普通の生徒である。 彼の、どこが怪しく思われたのだろう?

 芹沢が言った。

「 校章と、クラス章を着けていません。 局員が、任意に事情徴収したところ、申請した名前が、クラス名簿に存在せず、 当校の生徒では無い事が、判明致しました 」

 朝倉が言った。

「 随分と、おマヌケなスパイさんね・・・ 偽名フォローのツールも、実在生徒の調査もせずに潜入しようとしたの? ウチも、ナメられたものね。 ・・あなた、名前は? 学校は、どこ? 」

 男は、ふてぶてしく言った。

「 けっ・・! オンナだてらに、偉そうに・・・ ガン首並べて、何の相談だい? 」

 途端、男を連れて来たもう1人の女生徒が、男のみぞおちにヒザ蹴りを食らわせた。 かなり強力だ。 手馴れた感じである。

 女生徒は言った。

「 ・・・質問された以外の事は、喋るな・・・! 」

 傍らにいた芹沢が、男に言った。

「 そいつには、逆らわない方がいいぞ? 鬼龍会 風紀局 助勤の、正木 明日香だ。 あたしと違って、見境が無いからな・・・! 」

 別名、特攻の正木・・・ コイツも、名前は、聞いた事ある。 レディースの出身で、芹沢に助けられ、改心。 得意の水泳で、特待生制度にて、武蔵野に入学して来た生徒だ。 ちなみに、龍二も空手の特待生らしい。 マサは・・・ ムエタイか・・・?

 正木が言った。

「 涼子センパイ。 自分は結構、我慢強くなった方ですよ? 」

 そう言いながら正木は、男の襟元を締め上げている。 軽~く、わき腹をヒザで、小突きながら・・・

 男が言った。

「 涼子・・・? てめえが、あの芹沢 涼子か・・! 鬼龍会 風紀局長の・・・! 」

 芹沢は、少し笑いながら答えた。

「 あたしの顔を知らないなんて、ドコの馬の骨よ、アンタ。 ・・そんなんで、ウチに潜入して、ナニを調べようとしてたの? 」

 書き物をしていた朝倉が、シャープペンシルのノック部を唇に当てながら言った。

「 素直に、所属校を言えば、帰してあげるわ・・・ どう? 」

 男は、見下した返事をした。

「 三下の女なんぞに、答えるつもりは無いね 」

 途端、正木のボディーブローが、男の腹に炸裂する。 修羅のような形相になり、怒鳴った。

「 誰に向かって、口聞いてると思ってんだよッ! テメエーッ! 」

 どうやらこの男は、この会議が何の会議なのか、よく分かっていないらしい。 週番の委員会 会議、とでも思っていたのだろうか? 可哀想に・・ 知らぬが仏、だ。

 キレた正木が、男の髪を両手で掴み、後頭部を、ガンガンと壁にぶつけている。

「 そのくらいにしとけ、正木・・・! 」

 龍二が言った。

「 だって、龍二センパイ! コイツ・・ 朝倉次長を、三下って言ったのよッ? 許せないわッ! 」

「 ・・じ、次長・・・? お、お前・・・ あ・・ 朝倉 美智子か・・・? 」

 男は、やっと情況を把握したようだ。 にわかに震え出し、続ける。

「 龍二・・・? そうか、人間凶器の・・ 内田 龍二かっ・・? 」

 マサが言った。

「 お前は、運がいいな。 幹部を一堂に見れる機会は、そう無いぞ? 」

 男の顔色が、すう~っと青くなった。

 朝倉が、メガネの奥からドスの効いた冷たい視線を男に放ちながら、芹沢に言った。

「 尋問しても、あまり期待出来るような情報は、持ち合わせていないようね、涼子。 校名だけ聞き出したら、帰してやって。 ムダな殺生は、したくないわ 」

 芹沢が言った。

「 校名すら、吐かなかったら・・ いかがします? 」

 朝倉は、キッとした表情になり、答えた。

「 まがりなりにも、ウチに潜入しようとしたんだから、それだけは、喋ってもらうわ・・・! 手段は、任せます 」

 芹沢は一礼すると、正木と共に、男をどこかへと連行して行った。

 ・・・怖い子たちだ。 あの男の、身の上が心配になる。 丸太に縛り付けて、プールに放り込むんじゃないだろうな? 化学実験室へ連れてって、焼けた石綿を押し付けるとか・? あの芹沢ちゃんと、正木ちゃんなら、やりかねん。 保健室に連れて行って、○ンソレータムを目の下に塗るぐらいの、可愛い事で済ませるハズが無い。 可哀想に・・・


 マサが、会議を締めた。

「 各自、他校の動きを見張れ。 幹部や、リーダーの交代があった時は、最優先で確認しろ。 仙道寺とのつながりを、特に洗え。 いいな? ・・・姉御、最後に一言 」

 特にありません。 みなさん、交通ルールをまもりましょう!

 ・・・フッ飛ばされるかもしれんな、こんなコト言ったら・・・

 僕は、立ち上がると言った。

「 私を護衛してくれるのは、感謝する。 だが、皆、大切な部員だ。 各自、身の安全を守るように・・! 特に、女子は、必ず男子部員と行動をとれ。 こんな状態を、いつまでも続かせはしない。 仙道寺とは、いずれ決着を着ける。 必ず、だ・・・! 」

 皆、信頼の眼差しを、僕に向けている。 ああ、ごめんなさい・・! 僕、大風呂敷を、広げてしまいました。 収集は、元に戻った星野ちゃんが、きっと着けて下さるから。 ねっ?


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