表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

嗚呼、面接 2

「二十人。キリが良いわね。まぁこの中にまだまぐれが隠れていると思うけど、先に言っちゃうね。欲しいのは四人。誰が残るのかな?」

一人ひとりに目線を向けて、嬉しそうに話している。

「じゃあ次、十人、着いて来て」

女性は、奥にある扉に初めに並んでいた十人を、連れて行った。

「なぁ、おい」

「え?」

僕より後に入ってきた男が声をかけてきた。

「この会社、変じゃないか?」

「変?」

「だってよ。面接官…まぁ面接じゃなかったけど、アイツ一人だけだぜ。他のヤツは働いてねーのかよ。それになんでじゃんけんだ?ITの会社って聞いてたよな?」

「へ?そうなの?」

「なんでしらねーんだよ。書いてあっただろうが」

男は目を丸くして、僕を見てきた。が、知らないモノは知らない。

内容を見れば、出来ないとかやりたくないとか、そんな気持ちが先行してしまいそうで、入社してから、仕方がないかの気持ちでやろうと思っていた。

「ITって聞いたから来たのによ。パソコンひとつ見つからねぇ。理工学部が泣くぜ」

もう興味の無い話になってしまったので、隣の男に適当に相槌をしながら、隣の部屋で何が行われているのかを考えた。

瞬発力がどうとか、反復横とびでもしているのだろうか?

「なんだよ全く」

十人が入ったドアが開き、その内、六人が出てきた。が、そのまま何も言わずに帰路を辿って行った。

「次の十人入って」

僕達がぞろぞろと移動すると、ゲームセンターにあるようなシューティングゲームが十台、狭い部屋にキュウキュウに詰め込まれていた。

「はい、じゃあ今から十分。このゲームやってね。よーい、スタート」

僕達はあわてて、ゲーム機の前に立った。

ゲームセンターはあまり行かなくて、こういうのは正直いって不向きだ。画面ではおびただしい数のゾンビがうごめいている。トリガーを引くだけのゲームなのに、全く標的に当たらない。何が計られるかわからないけど、たぶん、落ちたな。右下のポイントが少しも増えていない。隣の理工学部は、楽しそうに奇声を発している。

開始から五分が過ぎた頃、突然画面の横からゾンビの顔が出てきた。

「うわっ」

体をのけ反らすと、ゲーム内の僕の分身も動いた。どうやら足元のマット上で動くと僕の分身も動くらしい、そろそろ体力もピンチなので、逃げ回る事にした。

残り二分。たいしてゾンビを倒せず、逃げ回っていると、いきなり画面が暗くなった。

「え?嘘?壊しちゃったの?」

どれだけトリガーを引こうが、マットを踏もうが、画面は暗いままだ。

画面が戻ったと思うと、画面上に「bonus stage」と書かれており、動かないゾンビがたくさんいた。

さすがの僕でも動かない標的には当てられるようだ。残り何十秒の間に、必死にトリガーを引いていた。

「はい、終わり」

女性の声とともに、ゲームからゲームオーバーと聞こえた。

女性はひとりずつの画面を見て回りながらニヤニヤしている。

「えっと、君と君と、君。お疲れ様でした」

理由はわからないが僕は、指さされなかった。ちなみに理工学部も。

「なんでだよ?俺のポイント見てるか?六万ポイントだぞ」

僕が自分の画面に一瞥やると、二万ポイントしかなかった。

「六万ポイントなんて、ちょっとすごいだけじゃない。この子なんか十二万ポイントよ」

十分間でどの程度のポイントが獲れるかわからないが、皆は指さされた理工学部を唖然と見ていた。

「だいたい、誰がポイント上位者を選ぶって言った?そんな雑魚をちまちま倒して威張らないで。私が見てたのは、ボスを見つけたか?大物狙いって当たり前でしょ?まぁ、十二万ポイントは、例外だけど。あと、ノーダメージの子とか、そうねぇ、ボーナスステージを見つけるなんて大したものだわ。秘密基地を見つけるようなものだから。とにかくあんた達三人は、死んだり、雑魚を倒すのに必死な凡人って事。わかったら帰って」

三人は、顔を真っ赤にして、部屋を出て行った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ