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キラキラにんじゃ・ハルカ

掲載日:2026/01/21

※冬の童話祭2026・テーマ「きらきら」参加作です。


キラキラが好きな小学生の女の子が、実は忍者の末裔で……?

ハートしゅりけん! 七色けむり玉!

キラキラ忍術で事件を解決!

「かわいいなあ……。」

 ハルカはショッピングモールのファンシーグッズうりばで、目をかがやかせていました。

 キラキラ光るペンケースや、ほうせきの形をしたネイルシール、ハートがたのバッジなどが、たなにならんでいます。

 おこづかいをもらったので、買い物にきたのです。

「どれにしよっかな……?」

 そのとき、大きなこえがしました。

「まんびきーっ!」

 見ると、こうこうせいくらいの男の人が、ゲームソフトをもって、走っています。おもちゃコーナーのおねえさんが、おいかけています。

 ハルカは目がキリッとなりました。

 物かげにいどうすると、いっしゅんで、にんじゃのすがたにへんしん!

 でも、いしょうの生地はピンクで、全体にラメが入っています。

 ずきんのおでこには、ハートマークのししゅう。

 こしのおびには、たくさんのスパンコール。

 ハルカは、風のように走り、まんびきはんの前に回りこみました。

 はんにんは、あっけにとられました。

「……な、なんだ。おまえ?」

「キラキラにんじゃ。ハルカ!」

「……ああ? どけっ!」

 まんびきはんは、つっこんできました。

 ハルカは、後ろへジャンプしながら、

「ハートしゅりけん!」

 と、しゅりけんを数まいなげました。赤いハートの形をしています。

「うわっ!」

 まんびきはんはハートしゅりけんに足をはらわれて、ごろんごろん。

 そこへ、けいびいんがかけつけて、その男をつかまえました。

 てんいんがハルカに頭を下げます。

「たすかりました。ありがとう!」

 まわりの人たちも、「すごーい。」と、はくしゅをしています。

 ハルカは、手をふってこたえたあと、玉をゆかにたたきつけました。

 七色のけむりがボワン!

 ハルカのすがたは消えました。

 女の子たちが「かっこいい!」、「ステキー!」と、こえをあげました。


 ばんごはんのとき。

 ハルカは家ぞくに今日のかつやくを話しました。

「でね、みんなよろこんでくれてね……。」

 そのとき、「ふん!」と、はないき。

 長いまゆげにするどい目の……しげぞうおじいちゃんです。

「くだらん。ヒーローきどりか。にんじゃというのはな、かげに身をおくものだ。」

 おじいちゃんは、もういちどはないき。

「にんじゅつは、そんなことのために使うものではない!」

 ハルカは、口をとがらせました。

「じゃあ、なんのために使うの?」

「それはもちろん、とのさまのおやくに立てるようにだな……。」

「今どき、とのさまなんていないよ!」

「う、うるさい。それなら、もしかしたら、知事や市長からたのみが……。」

「あたしは、みんなのやくに立ちたいの。それに、キラキラのにんじゅつでよろこんでもらえれば、なおいいでしょ?」

「だいたい、そのキラキラにんじゅつというのも気にくわん。そんなものを勝手につくりおって。」

 パパが間に入りました。

「まあまあ。にんじゃの話なんか、もういいじゃないか。ねえ、ママ?」

「そうねえ。それにしても、うちってにんじゃの家なの? みんな、よくにんじゅつの話とかするけど……。」

 ママはおっとりとしたちょうしで、とぼけたことを言います。

 そんな二人のことは気にせず、ハルカとおじいちゃんは、にらみあったまま。

「とにかく……。ハルカ、おまえは、外でにんじゅつを使うのは、きんしだ。」

「え……?」

「頭をひやせ。」

 そう言うと、すわったままシュッ! といっしゅんで、すがたを消しました。

 けむり玉も使わずに、見事なくもがくれのじゅつです。


 次の日。ハルカは下校中も、ふくれっつらをしていました。きのうのことで、気持ちがおさまらなかったのです。

 たしかに、おじいちゃんの言うこともわかります。

 ハルカの家は、せんぞだいだい、にんじゃです。あとつぎをのこさないといけません。

 でも、パパは、にんじゃになるのがいやで、サラリーマンをしています。

 ママはきょうみがなさすぎて、にんじゃの家だということもよくわかっていません。

 それで、おじいちゃんは、ねっしんにハルカをきょういくするのです。ハルカは三年生ですが、三才のころからみっちりしどうをうけています。

 さいわい、ハルカはにんじゃのしゅぎょうがすきです。そしつもあります。

「でも、もっとかわいく、クールにいきたいんだよなあ……。」

 土手をすすんでいると、川べで、おもちゃのドローンが飛んでいました。

 が、風にあおられて、川にポチャ。

 コントローラーを持った女の子が、

「あー、うそーっ。」

 と、あわてています。

 ハルカは、木のかげにうつると、キラキラにんじゃにへんしんです。

 そして、川べまで行って、ジャンプ。

「キラキラ水ぐものじゅつ!」

 りょう足のうらにボン! と、うきわがあらわれました。

 キラキラにデコレーションされた花がらのうきわで、水めんをすべります。

「わあっ、すごーい!」

ドローンの持ちぬしの女の子が、こえをあげました。

 ハルカは、うかんでいるおもちゃのドローンをひろおうとしました。

 そのときです。

 なにかが飛んできて、右足のうきわにささりました。

 黒いしゅりけんです。

 うきわから、空気がシュー……。

「ああっ……!」

 左足でふんばって、手で水をかき、なんとかきしまで。

 ドローンは、ながされてしまいました。

「あー、そんな……。」

 女の子がかたを落としました。

 ハルカは、しゅりけんが飛んできたほうをキッとにらみました。

 人かげは、ありません。

 家に帰ると、ハルカはドカドカと、おじいちゃんのへやに入りました。

「おじいちゃん、ひどい! どうして、あんなことしたの!」

「にんじゅつは、きんしと言っただろう。」

「でも、あの子、かわいそうじゃん!」

 おじいちゃんは、ためいきをつきました。

「なんどいえば、わかる? にんじゃは、目立つものではない。ひっそりと、かげに身をおく。それが、しのびの道だ。」

 ハルカは、わなわなとふるえています。

「わしらは、でんとうのにんじゅつを守りながらだな……。」

 ハルカは、言葉をさえぎって、

「そんなの……やだ!」

 と、大ごえをあげました。

 おじいちゃんは、しばらくだまりました。

「……よし。そこまで言うなら、すきににんじゅつを使ってよい。」

「……ホント?」

「ただ、じょうけんがある。わしににんじゅつで勝ったら、だ。」

「え……。」

「それなら、みとめてやろう。」

 おじいちゃんは、かなりのじつりょくしゃです。おそらく、勝てないでしょう。

 ……でも、ハルカもさいきん、うでをあげています。じしんもついています。

 がんばれば、勝てるかもしれません。

 それに、キラキラにんじゅつをじゆうに使うことができたら……。

 かんがえると、わくわくしてきます。

「……わかった。うけてたつよ!」


 ばんごはんのあと。

 近くの林にある神社で、にんじゃすがたのハルカとおじいちゃんが、むきあいました。

 パパとママも見守っています。

 この神社はぼろぼろで、人がきません。ハルカはいつもここで、おじいちゃんに手ほどきをうけているのです。

「ルールはかんたん。にんじゅつで、パパとママにすごいと思わせたほうが勝ちだ。」

「うん。じゃあ、あたしからいくよ!」

 ハルカは、一歩前に出ました。

「キラキラ分身のじゅつ!」

 ハルカの体がパッと光ると、三人の分身があらわれました。

 しかも、それぞれ、キラキラと光るかざりがついたドレスやワンピース、ニットセーターを着ています。

 いつのまにかライトもおいてあり、みんなファッションショーのようにポーズ。

 パパが目を丸くしました。

「やるなあ、ハルカ。」

「どんなタネかしら?」

 ママは手品だと、思っているようです。

「では、わしのばんだ。」

 おじいちゃんは、まきものをりょう手でにぎりました。

「口よせのじゅつ!」

 すると、空気がゆれて、おじいちゃんの後ろに白いきりがたちました。

 きりの中に、なにやらかげが……。

 ぎろりと光る大きな目。

 木のように太い手。

 そして、ぬるりとしめったひふ。

 きょだいな、ガマガエルです。

「ゲロォォ!」

「わ、わわっ!」

 ハルカは、思わず、後ずさり。

「ひえええ!」

 パパも、こしをぬかしました。

 ママは、ポカンと口を開けました。

「フフフ……。どうだ? このおそろしい顔でにらまれたら、おにもふるえあがるぞ。」

 おじいちゃんは、むねをはりました。

「これは、じいじのほうが、すご……。」

 パパが言いかけた、そのときです。

「ゲロォォ!」

 ガマガエルが、その場ではねました。

 ドシンドシンと、地面がゆれます。

「お、おいガマ。どうした? しずまれ。」

「ゲロォォォォ!」

 いきおいよく、舌をのばしてきました。

 おじいちゃんが、ふっとばされました。

「ぐあっ!」

「おじいちゃん!」

 おじいちゃんは、こしをおさえて、起きあがれません。

「ま、まずい……。気が立っておる。」

 ガマは、おじいちゃんに歩みよります。

「ゲロォォォォォ!」

 そのとき、ハルカは、目がキリっとなり、

「ハートしゅりけん!」

 ハートがたのしゅりけんをなげました。

「ゲロォ……!」

「こっちだよ!」

 たすけるため、注意を引きつけます。

 ガマが、ねらいをハルカにかえます。

「ハルカ、なにを……。にげろ!」

 おじいちゃんが、さけびました。

 パパは、「あわわ。」と、おろおろ。ママは、「ゆめかしら?」と、首をかしげています。

「ゲロォォ!」

 長い舌がのびてきました。

 ハルカは、ジャンプしてよけましたが、れんぞくでのびてきて、体をかすめ、

「うわっ!」

 ゴロゴロと地面をころげました。

 下がろうとしましたが、せなかには神社のかべが。

 ガマガエルが、じりじりせまってきます。

「ゲロォォォ!」

 月明りに、ガマガエルの顔がくっきりとてらされています。

 そのとき、ガマの顔をはっきりと見たハルカは、ハッとしました。

 ふくろを取り出し、なげました。

「たあっ!」

 ガマガエルの顔に、白いこながふりかかります。

「ゲロォッ……?」

 ハルカは、たかくジャンプしました。

 さらに、赤や銀色のこなをふりかけました。

 ガマガエルのほおやまぶたが、カラフルに……メイクされていきます。

 着地したハルカは、つづけて、

「キラキラかとんのじゅつ!」

 たかだかと手をかざしました。

 空中ではじける光。赤やピンク、黄色の花火です。

 ガマガエルのまわりをいろどります。

「ゲロォ……。」

 顔がおだやかになってきました。

 ガマは、近くのいけをのぞきこみました。水面にうつる自分のすがたを見て、うれしそうにわらいました。

「ゲロロ、ゲロロ。」

「ど、どういうことだ……?」

 おじいちゃんが、こえをもらしました。

「このガマガエル、女の子なの。」

「なっ……?」

「だから、メイクして、キラキラにしてあげたの。すごく、よろこんでるでしょ?」

ハルカは立ち上がろうとするおじいちゃんをささえました。

「顔がこわいとか言われて、おこったんだよ。女の子なら、いやがるよ。」

 おじいちゃんは口が開いたまま。パパとママは、目が点になっています。

「……そうだったのか。わしもしゅぎょうがたりんな。」

 おじいちゃんは、ずきんを取りました。

「ハルカ、わしの負けじゃ。」

「え……。」

「キラキラにんじゅつ……見上げたものだ。ひどいことを言って、わるかったな。」

「……いいんだよ。てゆーか、おじいちゃんから、きそを教わってるおかげだし。」

「ハルカ……。」

「いつも、手ほどきありがとう。」

 パパとママも歩みよりました。

「にんじゃって、わるくないかもな……。」

「そうねえ。それにしても、二人とも本当ににんじゃだったのね。びっくりしちゃった。」

 ハルカたちは、えがおをうかべました。


 次の日。

 ハルカが学校から帰ってくると、リビングにへんな人かげが。

 にんじゃのかっこうですが、いしょうの生地が、ぜんぶ銀色です。

 それは、おじいちゃんでした。

「ハルカ、おかえり。」

「ど、どうしたの、そのかっこう?」

「わしも、新しさを取り入れようと思ってな。ギラギラにんじゃだ。どうだ?」

「……おじいちゃん! あたしが、センスをみがくしゅぎょうをしてあげる!」

「む……?」

「今日から、ビシバシいくからね!」

                                         (おわり)

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