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ブラックギルドを追放されたおっさんは最強投資家となりギルドを買い取りざまぁする  作者: 芽春誌乃


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グレッグの転落

 それからというもの、俺とカレンの王都での生活は順調そのものだった。


 新しい家はギルドがあった場所とは比べ物にならないほど広くて豪華だった。


 王都の高級住宅街に建つその家は俺が投資で成功した証の1つだった。

 カレンは最初は恐縮していたが、今ではすっかり馴染んでくれたようだ。


「レオンさん、このお料理、本当に美味しいですね!」


 王都でも有名な高級レストランでカレンは目を輝かせながら食事をしていた。

 ギルドで働いていたころは質素な食事しかできなかっただろう。

 俺は彼女が喜ぶ顔を見るのが嬉しかった。


「カレン、これも似合うと思うぞ」


 休日に俺はカレンを王都でも最高級のファッション街に連れ出した。

 色とりどりのドレスやアクセサリーにカレンは目を丸くしていた。


 俺が選んでやった真紅のドレスを試着したカレンはまるで別人のように美しかった。


「レオンさんといると、毎日が本当に幸せです!」


 カレンはそう言って、俺の背中に抱きついてきた。

 俺はそんな彼女を優しく抱きしめた。



 ギルドでの20年間がまるで嘘のようだ。



 俺にはこの最高の秘書とこの最高の人生があるのだから。


 そして、俺が投資銀行の頭取として辣腕を振るい、順調に仕事を進めるにつれて、俺の評判は王都中に広まっていった。


 貴族や有力者たちからも一目置かれる存在となり、銀行には連日、融資や投資の相談が舞い込むようになった。


 そんな中、俺のもとには様々な女性たちが集まってきた。


「レオンさま、わたくしのパーティーにいらっしゃいませんか?」

「レオンハルトさま。わたくし、頭取にお会いしたくて、ずっとお待ちしておりましたの」

「頭取さま、わたくしと頭取さまの縁談をお父さま組もうとしているようで……」


 ある日、美人貴族令嬢たちが俺にお見合いを申し込んできた。

 彼女は俺の財力と能力に惚れ込んでいるようだった。


「レオンさま、わたくしと結婚していただけませんか?」


 美人貴族令嬢はそう言って俺に微笑みかけた。


「え……ええ⁉ け、結婚⁉」


 彼女いない歴イコール年齢の俺にいきなり舞い込んできた縁談。

 それも1つや2つじゃない。


 さすがの俺もパニックになり、対応を決めかねていた。


 すると、その様子を見ていたカレンが真っ赤な顔で俺のところにやってきた。


「その縁談には乗れませんよ!」


 カレンはそう言って、美人貴族令嬢と俺の間に入り込んだ。


「まぁ、秘書さん。ひどいことを言いますね。あなたにそんなこと言う権利があるんですか?」


 美人貴族令嬢はそう言ってカレンを牽制した。


「ありますよ! わ、わたしが! レオンさんと! 結婚します!」

「なんですって⁉」


 カレンの突然の言葉に美人貴族令嬢は驚いて目を丸くしていた。



(この話を終わらせるためにそう言ってるだけかな……)



「あ……あらあら、そうでしたか。それは残念ですわ。失礼します」


 美人貴族令嬢はそう言って、諦めて帰っていった。


「よかった……」


 俺の腕に抱きついてきたカレンは安堵の息を漏らした。

 俺はそんなカレンの頭を優しく撫でた。


「カレン、ありがとう。これで時間を浪費せずに済んだ。俺と結婚すると嘘をついてまで確保してくれたこの時間を使って俺はもうちょっと働くよ」


 そう言い放ち俺は席を立った。

 すると、グイっと勢いよく裾を引っ張られる。


「嘘じゃありませんよ。本気です」


 顔を真っ赤にして、プルプルと唇を震わせるカレンは今までで一番かわいかった気がする。



 ________________________________________



 一方、ギルドは完全に崩壊寸前だった。


 グレッグは誰にも相手にされなくなり、1人でギルドの事務室に閉じこもっていた。


「クソっ! どうしてなんだ! 俺はギルドマスターだぞ! どうして誰も俺の言うことを聞かないんだ!」


 グレッグはそう叫んだ。


 ギルドの崩壊はすぐに目の前まで迫っていたことは誰の目にも明らか。

 借金は雪だるま式に増え、もはやどうすることもできない状況だった。


「こうなったら……融資だ! 融資を受けるしかない!」


 グレッグはそう呟いた。


 プライドの高いグレッグは人に頭を下げることをなによりも嫌っていた。



 ――――だが、もうそんなことを言っている場合ではない。



「王都の、大手投資銀行……そこなら、きっと助けてくれるはずだ……」


 グレッグはそう言って、王都へと向かった。




 ――――そして、運命の日。




 グレッグは大手投資銀行の応接室でレオンハルトを待っていた。


「ようこそ、いらっしゃいました」


 応接室の扉が開き、1人の男が入ってきた。

 その男はグレッグのよく知っている人物だった。



「レ、レオンハルト……?」



 グレッグは目の前に立っている男を見て、驚愕に言葉を失った。


「まさか、お前が……」


 グレッグは目の前にいる男がかつて自分が追放したしがない事務員だったとは信じられなかった。



「久しぶりだな、グレッグ」



 彼はそう言って、グレッグに微笑んだ。


 だが、その微笑みはまったく温かいものではなかった。

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