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Elatic Library(静電図書館)  作者: わとし
探査記録簿ver.2
9/12

探査記録VOL.7「分裂」

SAIM臨時評議会会議録


記録者:A-02(主任モニター)

    B-17(分析官)

    C-12(研究主任)

【会議記録 開始】


A-02(主任モニター):

……失踪者は増え続けています。


今月だけで300人以上、累計で600人を超えました。


これ以上の犠牲は許されません!


我々は、静電図書館を「抹消すべきだ」と判断します。


B-17(分析官):

それは……本気で言っているのか?


あそこには、リリアという少女がいる。


彼女は過去にヒトに■■されている。


我々がそれを刺激して反感を買うのも危険なんじゃないか。


それに、空間そのものは知性の集結体であり、記録であり……


C-12(研究主任):

ですが、もはや回復不能な被害が出ています。


今だって失踪者は増え続けています。


そして、それの観測者たちの精神にも明確な異常が……


「図書館」は我々の理解を超えている。


B-17:

だからこそ残すべきだろう!


理解できないからといって、それを消すのか!?


これは安全ではない!


A-02:

「安全ではない」という言葉が通用する段階はとうに過ぎています!


(※このあたりから、会議は次第に激化。

 

  机を叩く音、怒号などが記録に残されている。


  およそ3日後、SAIM本部内にて派閥間衝突が発生。


  短期間ながら武装暴動が生じ、2名が負傷する事態となった)


――――――――――――――――――――


【極秘作戦:波壊計画】


実行日:■■■年■月■日


作戦指揮:A-02


協力部門:SAIM特殊兵器研究局


派遣調査員:C−21983(一部記憶処理済)

      装備:脳内装着型・小型波壊爆弾

          脳内装着型音声記録装置


目的:〇〇山地より図書館へ侵入し、中心テーブルに到達。


   その時点で小型波壊爆弾を作動。


   空間中央に置かれた日記を物理的に破壊する。


――――――――――――――――――――


【作戦時 通信記録】


A-02:

位置確認、進行せよ。


調査員:

了解。


……現在、長い本棚の廊下を進んでいます。


(数十分後)


奥に……テーブルが見えます。


A-02:

こちらも確認済み。


対象との距離は?


調査員:

あと10メートル……5……


今、テーブルに手を……


(轟音の後に通信が途切れる)


(通信途絶直後、〇〇山地全域に渡る地震が発生。


 気象庁観測記録と一致。波壊爆弾起爆が確定)


【作戦終了後】


A-02:

…………爆発を確認。


対象破壊成功だ!


研究室内数名のスタッフ:

やった、やったぞ……!


遂に……!


――――――――――――――――――――


【翌朝:ラジオ音声記録】

「こちら○○防異災センター


 〇〇山地で、大規模な時空間陥没が発生しました。


 現在、調査隊を……」


――――――――――――――――――――


【後書き】


記録者:B-17


我々は、やってしまった。


止めることができなかった。


図書館を、消し去った。


今おそらく、我々の中から記憶が消えていっている。


山は崩れ、空間は閉じ、観測もできない。


残ったのは、平地だけ。


それでも、我々はこの記録を残す。


未来の誰かが、この地に触れる前に——


「この場所は、決して研究してはならない」

注意点:本事案で手に入れた

    「図書館」についての記録は

    この記事が最後である

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