調査記録VOL.2「調査員の失踪」
記録者:B−1089
装備:音声記録装置
注意点:この情報は探査時に収集した音声データをまとめたものと思われる。
補足:
とあるメール(探査記録vol.1)が届いたのは、午前十時を少し回った頃だった。
そのメールにはとある図書館に行った記録が書かれてあった。
発信者の記録は存在せず、メールサーバー上には痕跡すら残されていない。
発信源探知の結果、そのの記録は◯◯山地の奥から送信された可能性が高いとされた。
〇〇山地、これは最近起こった
原因不明の地盤の盛り上がりによってできた山のことである。
そして、我々の経験上から、これは時空間異常である可能性が高いと判断されたため、
応急的な対応として、Bクラス調査員を派遣することにした。
記録に登場する「リリア」という少女や、異常空間の存在が事実であるならば
まだその兆候が残っているかもしれない。
あるいは、そこが入口なのだとすれば――
「はぁ、こんな山に来るなんてな」
彼は今、Bクラス調査員としての責務を果たそうとしている。
しかし、時空間異常と言ってもあんなメモ書きしか情報はない。
こんなので本当に大丈夫なのだろうか。
そんな不安にかられながら、
返事のない音声収録装置に状況を説明をしながら
山の中を探索していく。
すると突然、B−1089が立ち止まり、
「あれ?なにかあ――」
と、何かを話しかけた。
次の瞬間、ガガッという謎の音声が入る。
そして、音声収録装置が投げ捨てられ、
彼の音は完全になくなってしまった。
補足:
SAIM中央監視局において音声監視を実施していた幹部陣は、
これは潜在的危険性を有する異常事態と判断し、
現地に対する調査体制の強化を決定した。
これに伴い、
◯◯山地周辺にて発生している
連続失踪案件との関連性も高いものと見なし、
情報収集及び関連性の分析を進行している。