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聖女アリス、異世界で溺愛されてるけどツッコミが追いつかない。  作者: 高瀬さくら


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45.聖女はむらむらしちゃいません

 きゅとあがった筋肉質のお尻、そこから伸びる太腿、槍を構え右手を前に左手を後ろに引いて構えている。揺るぎないヒラメ筋がまっすぐだ。この足首を支える筋肉いいなあ。


「ヵラッパラッパだよ」

「ちょっと、捻ったセンスだね」


 これまでの魔物よりもね。ゲームでもいっしょにやろうか。


「とりあえず、私達はお風呂からあがろうか」


 ヴィオラが暢気に言ってざばりと風呂からでる。なんか緊迫感をこわしているけれど、対峙する一匹と一人を見ながら、二人で邪魔にならないように端による。


 というか、なぜヴィオラは闘わないのだろう。


「裸でなんて闘えないよ。それにロッドはそっち」


 みれば、木陰に装備品一式がアリスと同じように置いてある。とりあえず二人で裸を隠しときますか、とそれぞれハンドタオルで前を隠す。


 ちなみにこのタオル、入口で一枚三百ペイで買った。こんな五枚で百ペイのようなウスウスタオルなのに、ぼってるな。


 ちなみにこれもイヴァンが買ってくれた。ありがたいけど、なんかこうもう少しいいものが……。


 って思っていたら、イヴァンとカッパがあり得ない高さで跳躍し、槍と爪を噛み合わせて空中で入れ違う。そして着地。

 今までとは正反対の場所に二人(匹)降り立つ、てイヴァンがその位置をとると局部がみえます!


 片膝を立てると余計に! 慌てて顔をそらすけれど、ヴィオラは気にせずまっすぐに見ている。え、いいの。見て。


「だって見て減るもんじゃないし。本人も隠してないよ」

「ヴィオラ、はしたないから! イヴァンも見えてる!!」

「見たいなら見ればいい!」


 吼えるように言ってカッパの爪と槍でつばぜり合いをし始めるけど、なんかその恰好もセリフの中身も実はあれだから。


 動くとゆれる、から。闘い見られません……。


 仕事は助産師なので対象は産婦さんなの。産婦さんの大事なところは何千人も見ているから何にも感じないけど、看護師の友人達と違って男性の大事なところは見慣れていないの。資格はありますが!


 誰か彼にタオルを投げてあげて。そんなことを思ううちに、ぐわあという叫び声がして、静かになる。


「もう見ていいぞ」


 いや、見ていいと言われましても。


「お前になら見られても構わない」


 甘いセリフだけど「見られていい中身」が親しさによって違います! って、……え。見て、いいの? ちがう!


「私が構うよ!」


 ちなみに、その会話は全部目を閉じているからね。誰に言い訳してるのかわからないけどね、私!


「アリス、怖がらせてすまなかった」


 レジーの声とともに、背中を覆うようにバスタオルが掛けられてそれをひきよせ慌てて目をあける。レジー様のお下の箇所はもちろんみませんが、上腕と腹筋は見たい。


 そして目の前には二枚のタオルをつなぎ合わせて腰に巻いた男二人が両腕を組んで斜め横に並び立つポージングをした姿だった。


 何この料理人対決的なポスター撮り姿。


 ちょっと……タオルぴちぴちできわどいです。その下から見える大腿の筋肉の張りがよすぎて……。


 なんて眼福な。ではなく、だいたいこの町、聖女の温泉があるから魔物現れないんじゃ。


「はぐれヵラッパラッパだな。人がいなくなり餌を求めて危険を冒して聖地に来たのだろう」

「二人とも装備着てー。アリスがむらむらしちゃうから!」


 ヴィオラが出口から叫んでる。ねえ、ヴィオラ、わざとだよね。


「お前は、むらむらしてるのか?」


 イヴァンが眉間にしわを寄せて顔を近づける。濡れてウェーブがかかった前髪がセクシーですが、その下に見える目が怖い。


「誰にむらむらしてるんだ?」

「してないよ!」


 むしろ、そっちがするのが通常だよね。むらむら。一応タオル一枚なんですけど!


「これまで散々お前の股を開かせて、押し付けてくる胸を背に負っていたのになんで欲情するんだ」


 ただのおんぶだよね。その言い方やめて!


「そんなこと言ったら、私のレオタードむらむら効果がマシマシだから見てろよ!」


 むぅ、とイヴァンが眉間の皺を深くする。黒く整った眉とストレートの髪はさらさらで顔は対照的、硬派なイケメンなんだけど、今日局所丸出しで闘ったのでもう何も思いません。


 身体は超、鍛えていて立派ですけど、一度くらい女性なら抱きしめてもらいたいと思うモノだろうけど。なんかさっきの卑猥なおんぶを言われたので、もう悪いと思うのは止めた。


「それより、二人とも冷えただろう。今日の野営地に戻るかい? それとももう一度温泉につかるかい?」


 レジーが優しく尋ねる。確かに体は冷え冷えだ。


「――もう一回、入りたい」


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