二
どこか曖昧な言葉。それよりも悪魔。人間じゃないと予想がついてたとはいえ、その単語に身体中からじわりと生ぬるい汗が浮かび、湿ったていく。服がはりついて気持ち悪い。恐怖心で震える喉。それでも、転がりでたのは戸惑いの言葉だった。
「こんな……普通の人間の女の子じゃないか……」
「普通? 私が?」
まるで理解できないと言うような声に、さらに口を動かす。
「そうだよ。そもそも悪魔なんているわけないだろ!」
「人間って炎だせるの?」
「そんな非科学的な存在……いるわけ……いるわけない……」
「非科学的ねぇ……現実主義者なのは悪くないけど、頭は柔軟な方がいいんじゃない? そんなかたくなだと現実逃避しかできないよ?」
ゆるりと口角をあげ、もっともなことを言うなよ。というか、そんな目で僕を見るな。被害妄想かもしれないけど、どこか嘲笑うようなそんな目。煩わしい。
「うるさい!」
「ははっ本当にどうしようもないねぇ」
「そもそも、お前が悪魔だって証拠はないだろ!」
身震いしそうになるのを、恐怖心を無理やり押し殺すために頭を振って反論すれば、リオンは愉快そうに目を細めようやく黙った。