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微かな音に、浮上する意識。重たい瞼を開けば、酷く不気味な仮面を被った女がナイフを振りかざしてくる。ぞわりと鳥肌が立つが、寝起きの体なんかじゃ避けることは出来ない。目をつぶり、非日常的な視覚情報から逃げたい。それすら許されず、夢か現実かすらハッキリしないまま、意図せず振りかざされるナイフを凝視するように、死を覚悟したその時右手の指輪が光を放ち、凄まじい炎が自分の目の前に出現した。女は、僕と同じように眩しさに片目を閉じながらも、慌てて後ずさり距離をとる。


「は……なんだよこれ……ほのお……? 」


夢で見てるのか。視界には、鋭利な刃物を持った女から守るための盾のようにゆらゆらと燃えている炎。布団やカーテンに燃え移ったらあっという間に火事になって死んでしまう。こんな非科学的な出来事の前で冷静な思考は場違いな気もするが、そんな現実的なことを考えてしまうくらいには、理解不可能な出来事だ。ベットでよかった。腰が抜けて力なく床に崩れ落ちていた自信がある。呑気にそんなことを考えていると、背後からなにかに抱きしめられ「危なかったね。エマちゃん」と声がした。やわらかくあたたかい無邪気な声。敵意は感じられない。それでも咄嗟に振り向くと、場違いにもニコニコと笑っている女の子。なんなんだこの状況。理解が追いつかず、僕を守るように抱きしめる女の子と、さっき襲いかかってきた女を交互に見てしまう。そんな僕を見て女の子はくすりと笑い、女に警告をした。


「私のモノに手を出すなんて死にたいのかな?」

「ッ……手が……!」


低められた無邪気な声。僕の目の前の炎は消え、かわりのように女が手に持っていたナイフが炎で包まれる。悲鳴をあげてナイフを床に落とす女。そいつがしていた手袋は焼け焦げ、穴が空いた。やばいと思ったのか、背を向け窓から飛び降り逃げ去った。その光景に呆然としそうになるが、我に返りおそるおそる女の子に話しかける。


「もの……? ぼくが、おまえの……?」

「ん? ああそうだよね。はじめまして私の弱っちくて可愛いお姫様。大切な私の主」

「は? お姫様……? 僕が主? というか誰が弱いって!? くっそ……いきなり現れてなんなんだよお前ら! バカにしやがって……!」


睡眠中に殺されかけるわ、お姫様なんてガラじゃない呼びかたされるわ、主にされるわ、さらっと失礼な事を言われるわ、またもや混乱し怒り狂う頭。僕は睡眠を邪魔されるのが何よりも嫌いなんだ。


「お前かぁ。助けてあげなのにひどいなぁ」

「うっ……それは助かった。だけど名前知らないし」

「あ、それもそっかー。じゃあ許してあげよっかな。私はリオン」

「炎の使い手、りおん……?」


向き合い名前を呼ぶと、口元をキュッと引き締め目を細めるリオン。その顔は、ずっと待ち焦がれていたようなそんな風に見えた。だけど、すぐに機嫌よく笑い、軽快な声で語り始めた。


「ははっ。炎の使い手かぁ……」

「違うのか……?そもそも、なにものなんだリオンは」

「そうだねぇ。悪魔みたいな感じだと思ってていいよ」


ゆっくり、少しづつ更新予定。

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